中嶋 千裕(なかじまちひろ)

○生まれ
 東京江戸川区小岩生れの小岩育ち。女子美術大学日本画科卒。
○幻想文学会歴
 神保町に貼ってあった「蛇おじさん」ポスターにつられて幻想文学会に入会。なんと、それは倉阪鬼一郎氏が貼ったものだとあとで聞かされる。不思議なことに、その後の人生の曲がり角には必ず鬼一郎氏が潜んでいるという宿命に。入会にあたっては、石工職人のエプロンをかけるとかの秘儀は別に無かったように思う。すでにメンバーには母校・日比谷高校の先輩、石堂藍氏、家庭教師が私の担任教師と同じだったという南條竹則氏が在籍し、因果は巡る糸車か、足抜けできぬ女郎宿状態に突入。現在に至る。
○職業
 フリーランスの編集・画家
 編集業では主に固い事典・用語辞典畑に生息。自分でも事典フェチだと思う。関係ないが、小さいときから、雑誌を解体して製本し直し、オムニパスを作るのが好きであった。失業中も同人誌作りにはげむという、懲りない性格。
 画家としては個展3回、グループ展多数。『幻想卵』の表紙をさせてもらったのはとても嬉しいことでありました。無所属。象徴主義に傾倒。ギュスターブ・モローを心の師と仰ぎ、フランスに行くとかならずモロー美術館詣をする。女性ヌードを主に描くため、時々フェミニストの人たちから「女性が女性ヌードを描くということ」について質問をうける。本人としては「よくわからない。でも、美しい肉体を見るのは好き」。芸術は一生の仕事と考える。ブレイクのようになれれば、と思っております。
○幻想的守備範囲
 錬金術、イコノロジー、象徴主義、オカルティズム。どちらかというと、思想書を読む傾向にあり。だから、文学談義はいつも聞き役。全くの偶然だが、平凡社の二宮氏が編集した本はほとんど読破していたという、編集者追っかけだった事実が判明。その上、二宮氏が執筆していたという某百科辞典の錬金術関連の項目もほとんど読んでいたという念の入れよう。当の二宮氏に「日本に2人か3人いるかいないかという殊勝な人」の認定を受ける。
○宝物
 ビル・ブラフォードの直筆の手紙。これは、大地=打楽器(音楽)=礼賛をテーマにビルの音楽遍歴を象徴的に折り込ませた「春の祭典LA FETE AU PRINTEMPS」という作品を描いた折りに「無断で作品のモチーフにしたことに対するお詫び」の手紙を、作品の写真と、鉛筆の細密画による彼のポートレート(献呈するために描いたオリジナル)とともにつけて送ったところ、作品の感想などが肉筆で書かれた返信がきたというもの。「春の祭典」そのものを彼に献呈したいと常に思うが、あまりにもサイズが大きいため、いまだに手許にある。
○趣味
 ピアノ(クラシック。6つの時からやっています)、文楽鑑賞。もと演劇少女だったが、文楽を見てからはそれ一筋になってしまった。国立文楽劇場友の会会員。
○スポーツ
 ピアノ(笑)えー、無酸素運動です。ほんとです。いわゆるスポーツは「肉体好き」故、結構熱心に見ています。それが幸いして某用語辞典でスポーツ部門を担当していたこともあります。まさか飯の種になるとは思いませんでした。欧州スポーツ限定同人誌『OMNISPORTS』を昨年創刊。第2号準備中です。
○フランスとフランス語
 第二の故郷。前世はフランス人だったのではないかと思うほど、フランスにいると落ち着く。要するに自分勝手なのか?フランス語歴は足掛け16年。きっかけは失恋(はははは)。当時幻想文学会に在籍していた、早稲田仏文科の高橋麻美氏に強く勧められ、アテネフランセの門をたたく。以来、中8年のブランクはあるが、現在も継続中。語学に終わりはない。
○クラシック
 バッハ(マニア)。カンタータとオルガンコラールが最も好き。(つまり貧乏臭いバッハ)あとは、しいて挙げれば、ラベル、ドビュッシー、クープラン、スクリヤビン、ヒナステラ、ビラ=ロボス。
○洋楽
 愛聴期間の最も長いものは英国ロック。フランスものではゲンズブルグ様を別格として、ただいま、フランス製ヒップ・ホップにはまっている。詳しい「銘柄」は程なく本編で明らかになるであろう。
○美徳がよろめくもの
 ポリリズムと美声。