12月1日
 午前3:00頃から閑散とした(あたりまえだ)ジョナサンに腰を据えて、
「ムー」の数方庭&塵輪伝説原稿に専念するつもりが、なんやかやとメール連絡その
他に忙殺される。
 結局、朝の9:00近くまで居続けで、ともかくも脱稿。あ〜あ疲れたよ。しかし
これだけ年中来店して、ほとんど仕事場代わりにしていると、店員さんも心得たもの
で、やりやすいこと限りなし。ジョナサン両国店の末永い繁盛を切に祈る(笑)。
 月初なので銀行関係の用事を済ませて、緑図書館に寄って帰宅。「ムー」のM野く
んとカゴメ探偵団の図版について電話で打ち合わせて、というより、今回ばかりは本
文書いてみないと使用図版なんて決められないよ〜という話をして、風呂に入って仮
眠をとる。
 夕刻から錦糸町で食事がてら買い物。プリンタ用のUSBケーブルとか。ガシャポ
ンの「HGウルトラマン」シリーズの初期発売分が復刻されていたのに驚喜して、思
わずやりまくり。気合いで、未入手のものばかりを選んだようにゲット(笑)。お
お、テレスドンのナイス・ディティールよ!


12月2日
「ムー」の締切第3弾、今回いちばんの難物「カゴメ探偵団」パート3である。なに
せ取材が……思いっきりハズし気味だったからな〜(泣)。
 とにかく黙々と資料読みを続行。うーんうーん、閃きがぁぁぁ……ぱたっ。
 夕刻より池袋西武のホラー講座。今回は、英国のバラッド「魔性の恋人」とエリザ
ベス・ボウエンの「幽鬼の恋人」と上田秋成「浅茅が宿」と今昔物語「死んだ妻とた
だの一夜逢う話」のお話。
 終わってから有志で食事。たまたま創作系の受講生が残っていたので、即席創作講
座みたいなことに。ホラーを書くなら今が千載一遇のチャン〜ス! と煽動につとめ
る。


12月3日
 図書館で調べモノ……と思ったが、思い直して八重洲BCへ。行きがけに八重洲古
書館へ寄って、いろいろ物色していたらアッという間に福澤センセイ消滅だ。宮川曼
魚『月夜の三馬』とか『筺・筥・箱』とか。
 結局、ブックセンターでは、カゴメの資料に東洋文庫を1冊買っただけ。
 帰りに食事がてら八重洲地下街をふらふらしていたら(原稿に詰まったあげくの現
実逃避の模様)、通りすがりに気に入ったタイプのコートを見つけて、うかうか購
入。福引券をたくさんもらったので、早速やってみたら3000円の商品券が当たる
(2等賞)。あら珍しや。
 カゴメがどうにも膠着状態なので、いったん中断して他の細かい仕事を先に片づけ
ることにする。


12月4日
 名刺が底をついたことにハタと気づいて、近くの印刷屋へ。メールアドレスのみ
horrorweb@nifty.com に変更してもらう。
 ……てなことをやっていて遅れそうになったため、タクシーつかまえて銀座松屋ウ
ラへ。
 13:00から、銀座に新しくオープンしたキハチ・チャイナで、上京中の藤原ヨ
ウコウさん&M文庫のF西さんと昼食がてら、『新訂 クトゥルー神話事典』カバー
デザインの打ち合わせ。
 期待にたがわぬ見事な表紙画の出来映え(隠れモチーフは、ふっふっふ、ミスカト
ニック大学図書館だ!)に感動する。それもわざわざ2パターン御用意くださったの
だ。目移りしちゃうよ、まったく(笑)。
 ヨウコウ氏とは初対面だったが、以前から『幻想文学』の愛読者でいらしたとか。
ありがたいことです。江戸の美術工芸の話題とか、愉しく歓談。職人気質の方とお見
受けした。
 いったん事務所に戻ろうかと思ったのだが、かえって時間のロスだと思い直して、
銀座〜日比谷の喫茶店を数軒ハシゴして仕事。さすがにこのあたりは、居心地のよい
喫茶店が多いですな。
 19:00より銀座マリオン新館の丸の内プラゼールで「ザ・セル」の試写を観
る。『SCARED』編集部が手配してくれる映画にしては画期的に(!?)A級感た
だよう斬新にして正統的な幻想映画の佳品だった。
 冒頭の鮮烈な夢のシーンからして実に魅力的で、映像自体が独特の吸引力をもって
いる感じ。CM界の異才として知られる(らしい)監督のターセムは、インド系米国
人だとか。なるほど映像といい世界観といい、東洋的感性を感じさせる。きわどいグ
ロテスク味と奔放な幻想性の混淆は、小説でいったらクライヴ・バーカーの世界に近
いかも。ホラー・ファンにもお勧めです。
 観終わってホールへ出たら、いきなりグイと腕をつかまれた。「いいんですかーヒ
ガシさーん、こんなとこで映画観ていてー」
 邪悪な笑みを浮かべるのは、獅子堂@ムーである(笑)。ちいっ、まずいところ
に……「うるせーこれも仕事なの!」と答えて(獅子堂の担当原稿はすでに渡してあ
るので強気)、さっさと帰宅。


12月5日
 カゴメが切迫。そろそろシャレにならんな。担当のM野くん@ムーには「明日午後
渡し」と答えたものの……。
 夜、白泉社版東氏(!?)から電話。例のアンソロジーの件である。なんと1月下旬
発売に決定とのこと!
 来月の「ダ・ヴィンチ」に広告も出るそうなので、あわてて情報解禁しますが、小
生編の陰陽師小説&エッセイ&漫画のアンソロジー『陰陽師伝奇大全』が、年明けに
白泉社から出ます。
 いいかげんネタが出尽くした観のある「晴明/陰陽師」本だが、幻想文学的観点に
立てば、まだまだこ〜んなものもあるんだよん、あ〜んな切り口もあるんだよん、と
いうことを提起した一巻となっている(つもり)。もちろん例によって、アッと驚く
とっておきの「隠し球」もバッチリ! 誰でも知ってるよーな作品ばかりを適当に並
べて「名作アンソロジーでござい」と銘打つ度胸は、オレにはないもんね(笑)。
 ……てなわけで、またしても400頁を越える大冊になっちゃったよ。
 深夜、加門七海という人から突然連絡が。すわ、大地震か!? と緊張するも(万
一、大地震が起こりそうな前兆があったら必ず連絡するよーに、と頼んであったの
だ)「化野さんという人あてのメールが、携帯に届いてるんですけど……」
 し、し、失礼しました〜(大汗)。聞けば現在、熊野で取材中だとか。そりゃまた
遠方から御親切にありがとうございました(ぺこぺこ)。


12月6日
 早朝、天鶏いや天啓のように決定的閃きが到来! きたきたきたきたよぉぉぉ〜
(歓喜)。かくして一気呵成に「ムー」の連載企画「カゴメ探偵団」第3回「日光東
照宮激闘編」(嘘)を書き上げる。つつつつつ、疲れたぁ〜。
 どうもカゴメの原稿は、いつも執筆を始めてから予想外の展開を見せるので、ハラ
ハラものである。今回も土壇場に来て、アッと驚く急展開。なんと小生、「かごめ
歌」の歌詞の画期的新解釈に想到してしまったのだった! いや、ホント、凄いんだ
から(笑)。御期待ください。
 夕方、原稿アップと同時にメール送信して、速攻で学研へ向かう。担当のM野く
ん、編集実務のH田氏@少年社と使用写真・図版の打ち合わせである。へろへろ状態
で、なんとか打ち合わせを終えると、もう21:00。よろよろと地下鉄で帰宅。
 部屋で原稿を書いていると、向こうのほうでFAXがフル稼働。あちこちからゲラ
が送られてくる。あ〜んど、SFM編集部のS水氏から、年間アンケートの催促。拝
み倒して、一日だけ猶予をいただく。
 風呂に入って、とにかく寝ることに。


12月7日
 午前中、千街晶之氏と電話で怪しい相談後、現代日本の幻想文学を代表するひとり
である某先生……とかいうと「センセイはやめて!」と叱られるんだよな(笑)、某
さんにFAX。某社新企画の御相談である。すると打てば響くように、メールで御快
諾をいただく。やった〜!
 14:00より紀尾井町の文藝春秋で、キング『ザ・スタンド』の担当編集者F井
さんにインタビュー取材。bk1のメルマガ用である。翻訳刊行までの裏話とか、い
ろいろうかがう。
 そのあと久しぶりに、同社近くのモスバーガーで、ひとしきり仕事。ここは、ぶん
か社で仕事していた時期に、よく利用したのだった。ぶんか社では専用の机もあてが
われていたのだが、他人のいるところでデスク・ワークをするの、私ゃ苦手なのよ。
 この店、携帯の電波の入り具合が悪いのは相変わらず。建物の構造なのだろう。し
かたないので、寒いのを我慢して、屋外のテラス席へ出て通信をおこなう。
 新宿へ移動し、17:00からマイシティのプチモンド和食部で、養老孟司VS風
間賢二のキング&『ザ・スタンド』対談を収録。テープ編集&構成をお願いする神無
月マキナさんも立ち会い。和食部の座敷を使うのははじめてだが、暖房があまり利い
ていないのには困ったもの。しかし対談終了後、障子を開け放ってみたら、新宿東口
駅前を間近に見下ろす絶景であった。
 養老氏とは他の3人とも初対面。豊富な知見に裏打ちされた談論風発ぶりは、さす
がの貫禄。対する風間氏も、キングに関するとっておきの新事実暴露で対抗――おか
げさまで愉しい対談になりました。この模様の一部はbk1のホラーサイトで、全貌
は、予約特典メルマガにて公開されまーす。
 終わってから、まだしばらく時間があったので、風間氏&マキナ氏とコワモテ系
(!?)ホラー評論家トリオで、たらたら雑談。途中とても公開をはばかるような話題
がポンポン飛び出して、面白きこと限りなし(笑)。そのうちどこかで覆面座談会で
もやろうかな〜(ってバレバレに予告してどーする!)。
 ダ・ヴィンチの恋愛ホラー特集に追われるマキナ氏(って実はオレもなんだけ
ど……)と別れ、地下鉄で帰宅。
 早朝からSFMの年間アンケート&90年代ベストSF(なんだけど、俺の場合は
ホラー限定なのだ)をまとめて、編集部のS水氏に送付。


12月8日
 午前中ちょっとうとうとしてから、「本の旅人」のホラー大賞座談会のゲラを手直
しして返送。ためしにワードの赤字機能を使ってみる。けっこう便利かも。しかし追
加の場合はいいけど削除のみの場合はちょっと困るぞ。皆さん、どうしてるんだろ?
 遅い昼食がてら、たらたら錦糸町へ。駅ビルの不二家パーラーで食事しながら、ア
エラムック『恐竜学がわかる。』の恐竜文学史原稿のゲラ直し。
 途中、「週刊小説」編集部のS氏から原稿依頼の電話。「ホームページを拝見して
おりますと大変にお忙しいようですが……」とやたらと恐縮していらっしゃる。いや
いやこれはホレ、あくまで公開を前提にした日記だからぁ〜と、ひみつの内情を説明
(笑)。「ホラー・ジャパネスク」特集ということなので、もちろんふたつ返事で快
諾する。
 ヨドバシに行くと必ずチェックすることにしているガシャポン売場で、そろそろ出
るなと思っていた「ゴジラ7」を発見。今回はメガギラスに合わせて、昆虫系セレク
ションですか。その間隙をつくようにして、ついに出たか、X星人!(笑)下半身の
曲線がキュートです。
12月9日
 洋食屋で昼メシを食おうとしていたら、「ですぺら」の渡辺一考さんから電話が。
「今晩、司会やってくれ〜」って、おいおい(汗)。ま、その場のなりゆきってこと
で……と、お茶を濁しておく。
 菊川の交差点に先日オープンしたマクドナルドを通りすがりに覗いたら、映画「ダ
イナソー」とタイアップの恐竜グッズがてんこ盛りではないかっ!
 てなわけで、2児の子を持つ善良なマイホームパパをよそおって(笑)ハッピー
セット×2そのほかをなに食わぬ顔で注文。定番のゼンマイ歩行玩具やトレカより
も、恐竜型トング(要するにナゲットつかみなんだが)が、恐竜グッズ研究家的には
ヒットでした。
 そういえば数年前に某河出書房新社で企画進行していた恐竜グッズ本、どうなった
のかな〜、こちらはいつでも執筆スタンバイオッケーなんだけどな〜、ぶつぶつ。
 戻って仕事していたら、突如、事務所の据え置きマシンが変調をきたす。またか
よ、あいびいえむぅぅぅ〜(怒)。どうやらIBM製マシンとは、とことん相性が悪
い模様。パナも富士通もほとんど故障したことがないのに……。仕方ないので、ひ
とっ走りアキバのPCドックへ。対応策を相談するも、結局ウィンドウズ入れ直すこ
とに。
 いったん事務所に戻ってから、赤坂一ツ木通りの「ですぺら」へ。今夜は須永朝彦
さんを囲んでの「扇さばきの宵」が開かれるのだ。開始時刻より若干早く入店する
と、マスターの一考さん、主役の須永さん、国書刊行会のイソ裂編集長、仏文学者の
高遠弘美さんが、なごやかに談笑中……しかしこれのどこが「若い人」たちとの集い
なんだおい(笑)。
 それでも20:00に始まってしばらくすると、何人か若い方も来場し、それらし
い雰囲気になってきた。我々ロートル組はカウンターにへばりついて業界話やら、一
考さんが提示する意欲的企画の数々やらでぺちゃくちゃ。幻想ブックレビュアーの伊
藤敬氏や謎の某くんも遅れて来店。小生は23:30頃、ひと足早く退散する。
「ですぺら」では引き続き、こうした催しを企画していくそうなので、興味のある方
はぜひ一度、足を運んでみてください。


12月10日
 『噂のくだんちゃん』の原稿書き。
 編集発行人の高瀬美恵さん曰く――「原稿って催促されるより、するほうが楽しい
ですね〜」
 ……ということだったので、御要望にこたえて、原稿取りの醍醐味をたっぷりと満
喫していただくことに(笑)。最後には「殺意すら覚えますね」に感想が一変してい
たのは、なぜ!?


12月11日
 昼過ぎには終えるつもりが、結局夜中までかかって、「件の地獄」原稿25枚を
アップ。別府名物の「地獄」と「くだん」との微妙幻妖な関係、そして幻の「怪物
舘」の謎を追った探訪エッセイだ。いま、いちばん書きたいネタだったので、大いに
愉しみながら書かせてもらいました。12月30日のコミケで販売されるそうなの
で、別府くだん狩りの衝撃の全貌を早く知りたい向きは、幕張に走れ!
 途中、淡路町の白泉社へ出向いて、妹尾浩也さんにお願いしていた『陰陽師伝奇大
全』のカバーデザイン・ラフを拝見。重厚にして典雅な、素晴らしい出来映えに感激
する。
 戻ると同朋舎から宅配で、でかい袋が届いていた。『日本怪奇幻想紀行 五之巻 
妖怪/夜行巡り』の見本である。小生に課された今回のお題は「化け猫」――今夏、
炎天下の佐賀平野や博多市街を汗にまみれて徘徊した九州怪猫紀行の顛末を詳述して
おります。


12月12日
 これまた切迫していた「ダ・ヴィンチ」の恋愛ホラー特集に寄稿する原稿に本格着
手。特集全体のパースペクティヴが気になったので、担当編集者(今回初めて特集の
企画立ち上げから一本立ちで担当したそうで気合い入ってます!)のS口くん@ダ・
ヴィンチに電話して、すでに上がっているガイド部分や取材記事のゲラをFAXして
もらう。非常に充実した特集となっている模様で、とても愉しみである。
 それは大いにけっこうなのだが……こういう切羽つまったときに限って、午後いっ
ぱい電話鳴りやまず。しょーがないので両国駅前へ避難して、モスバーガーで仕事を
続行。
 夜、総武線各駅でたらたら神楽坂へ出て、津原泰水氏が「小説推理」に連載してい
た長編『ペニス』完結記念打ち上げ二次会に遅れて出席。本人から「ちょっと相談
が……」と言われていたのだが、到着してみればセンセーはテーブルに突っ伏して熟
睡中(笑)。相変わらずだなー。
 お目覚めまでの間、隣り合わせた南智子さんと伝奇ロマン話で盛り上がる。他に北
原尚彦さんやA島氏@エニックスなど、いつもの顔ぶれ。双葉社の津原ペニス番
(!?)H野さんから連載中の苦労話爆笑話ほかをうかがう。
 でもって、肝心の相談事とは――津原氏編纂のエニックス版アンソロジーが来年文
庫化されるそうで、その解説依頼であった。ふっふっふ、この俺に、よりによってオ
リジナル・アンソロジーの解説を依頼するとはね〜。喜んで挑発に乗らせていただく
ことにする(笑)。ここ数年、書き下ろしアンソロジーについて考えさせられてきた
ことを、存分に、忌憚なく、書かせていただくつもり。まだ先の話だけれど、今から
愉しみである。腕が鳴るなぁ〜。
 ……などと、ほくそ笑んでいる場合でないことにハタと気づき、宴たけなわなれ
ど、お先に失礼する。


12月13日
 明け方、うっかりうとうとしてしまい、気がつけば約束した原稿アップ時刻を過ぎ
ている。あああ〜ゴメンよ〜寝ないで待っててくれたS口くーん(泣)。
 とにかく書き上げて送信。お詫びのしるしに「です・ます」バージョンと「であ
る」バージョンの2パターンを作成して、サービスサービス。
 休む間もなくbk1の『ザ・スタンド』スペシャル・メルマガの入稿前チェックを
進めつつ、〈怪談之怪〉の選評を書き上げて送信(酷使してくれます、ダ・ヴィンチ
さん!/笑)。
 ホッとひと息ついてメール・チェックすると……スピリッツH野くんから急報が。
なんとなんと「くだん」の剥製写真が、ついに見つかったらしい!!!
 速攻でスピリッツ編集部に電話を入れて、問題の写真を見せてもらいに神保町の小
学館へ急行。
 うーむむむむ。これは凄い。そして意外! いや〜、水木しげるはえらかった!
 しかし残念ながら、柴田亜美さんの漫画はすでに刷了済みなので、紙面でこのス
クープ写真を紹介できるのは、「スピリッツ増刊 山田2号」発売予定の5月まで、
半年近くもお預けとなってしまう……なんとかそれ以前に公開する場づくりはできな
いものかねぇ、とH野くんと話し合うも妙案浮かばず。漫画雑誌なんだから仕方ない
のだが……。
 帰宅して早速、以上の顛末を「幻想的掲示板」に報告したところ、岡山の妖怪愛好
家・化野燐さんからお電話が。こいつはてっきり掲示板を見たのだろうと話を始めた
ら、大違い。なんと化野氏も本日、岡山で、くだん印の家伝薬広告(それもなんと○
のクスリ/笑)という大ネタを発掘していたのだった!
 恐るべきシンクロニシティである。


12月14日
 明け方から、すかいらーくとジョナサンをハシゴして、「本の旅人」のゲラ直しや
らbk1の原稿やらなんやかや。
 ひとしきり片づいて仮眠をとっていたら、「SFマガジン」の塩澤編集長から恐れ
ていた(笑)電話が遂に! ホラー時評の原稿、土曜日がリミットとか。うひい。
 とはいえまだSFMまではたどりつけないのだった……「ムー」の連載「伝奇入
門」第3回分の原稿を書き始めるも、中断して某社の某企画の打ち合わせへ向かう。


12月15日
 例によって「ムー」の用事で「ムー」の原稿が滞るという毎度のパターン。カゴメ
探偵団のゲラ戻しとか。
 ともかくも「伝奇入門」を書き上げて、書影のデータと一緒にK池さん@学研に送
信。今回は『唐宋伝奇集』の後編。忍術小説の元祖ともいうべき「聶隠娘」の紹介が
メインである。次回からはいよいよ「四大奇書」編に突入だ!


12月16日
 SFMレビュー、今日中に、と塩澤編集長に厳命されていたのだが、池袋西武のホ
ラー講座の時間までに終わりそうもない。しょーがないので、電話を入れて一日延長
を懇願。
 講座の演目も、急遽予定を変更して「今年のホラー界を総括する」に。こういう場
所でなければとても話せないような話題も含めて(笑)思うところを述べる。
 少し時間が余ったので、「ムー」に書いた「かごめ歌」の新発見について、ひと足
先に披露したら、皆さんとても面白がってくださる。ホッ。
 戻ると速攻で「伝奇入門」のゲラが出ていた。やはりDTPだと手っ取り早いぜ。


12月17日
 ホラー時評、午前中に送るはずが、いろいろあって午後になってしまう。今回は、
文庫書き下ろし大行進のあおりですっかり割を食っていた『オフシーズン』に『けだ
もの』に『異形家の食卓』に『たたり』という鬼畜なラインナップ。
 さあああ〜終わったぞー、と勇んで池袋へ出撃。そうなのだ、きのうの初日はさす
がに涙をのんでパスした「ゴジラ×メガギラス」、今日こそは何があっても行くぞ!
 と小さな胸に誓っていたのだった(笑)。
 東宝ゴジラ映画には近年失望させられ続けてきたし、今回はあの魅力的なメガヌロ
ンの、というより、トンボという肉食昆虫の異形性を無視したとしか思えない(きっ
と英語のdragonflyからのイメージなんだよな、あれは)メガギラスの造形もなんだ
かな〜だったし……ということで、正直いってあまり期待していなかったのだが……
結論! いや〜相変わらず脚本はヘボでも、監督が違うと(これが初見参の手塚昌明
監督)これだけ面白く一変するのだ、という見本のような映画でしたな。
 必要悪(!?)の子役には極力しゃべらせず、あくまで「局外」の一点景にとどめた
演出姿勢といい、ゴジラ殲滅に執念を燃やす女戦士・桐子(田中美里が好演熱演!)
を中心とする対ゴジラ・チームのアグレッシヴな作戦行動や、昆虫特有の「群」とし
ての無機質な無気味さを強調したトンボ怪獣の生態描写といい……堪能しました。
 いかにもいかにもな冒頭の第1作リメイクに始まり、渋谷水没の幻想的光景、本当
にゴジラが現実の市街地を進撃しているかのような俯瞰シーン、トンボの特性を研究
しつくした感のある対ゴジラ戦法等々、見どころ満載。平成ゴジラ・シリーズを研究
しつくした跡が随所にうかがえた。
 しかし……休日の最終回上映とはいえ、池袋繁華街の新装劇場で客が10人程度と
いうのは、なんだかな〜。平成ゴジラを見限っていた人も、この機会にぜひ!