[2000年6月]


[6月1日]
 昨日に続き、快挙を達成。朝の八時から夜の十一時まで休憩を挟みつつ仕事、25枚執筆する。過去は23枚が最高だったから自己新記録である。長篇が終盤で興が乗っているためだが、ただ単に暴走しているだけという気がしないでもない。


[6月2日]
 長篇の第一稿404枚が完成。うーん、まさかこんな展開になるとは……。とりあえず来週手を入れて仕上げることにしよう。今月はあと短篇三本と連載とゲラがあるから脱力している暇はないな。
 ひと区切りついたので夕方から渋谷へ赴き、亡月王こと西村有望さんの個展を観る。意外に上品な女人画も二点ほどあった(下半身は蛇だけど)。ちょうどタイミングよく建石修志さんがいらしており、初対面のご挨拶をする。今日は詩人の粕谷栄市さんも見えていたらしい。記帳を見ると、いかにもという名前がちらほら。一時間ほど油を売ったあと、なんと私のコーナーまであるブックファーストに寄ってから帰宅。


[6月3日]
 その後の読了本は四冊。小池壮彦『幽霊物件案内』(同朋舎)は、『新耳袋』ではあまり見かけないラブホテルなどのアンダーグラウンド系の怪談が興味深かった。「昔、高田馬場にあった〈トムソン〉という喫茶店で」には思わずのけぞったけれども、いちばん使ってたのに私は何も見なかったな。菊地秀行『ブルー・マン 神を食った男』(講談社文庫)の主人公は他のメインキャラより好みかも。〈英雄〉をキーワードにした小野不由美氏の解説は犀利だが、正負いずれにしても私には英雄の因子が欠落しているような気がする。関口苑生『江戸川乱歩賞と日本のミステリー』(マガジンハウス)のリストを見てやや愕然とした。読んだことがあるいちばん最近の受賞作は「放課後」、リアルタイムで読んだのは「猿丸幻視行」だけ。要するに、めちゃめちゃ狭い(本格からもずれている)私のミステリーのスウィート・スポットと乱歩賞はなかなかクロスしてこないので、受賞作と時代諸相と響き合わされてもなんだかなあという感じだった。折にふれて暴走しかけるところは面白いんだけど。武宮正樹『武宮正樹の宇宙流の極意』(NHK出版)は目からうろこが落ちる本。今後はあまり地に走らないようにしよう。


[6月4日]
 ヒュー・ウォルポールの翻訳の一本目「The Tarn」がようやく終了。道は遠いな。さて、『「ぷろふいる」傑作選』(光文社文庫)の作品リストを見ていたら、この作品の翻訳とおぼしいものが記載されていた。うーん、恐るべし探偵雑誌。なお、同文庫の「幻の探偵雑誌」シリーズ全3巻はすでに完結していますが、総目次まで付されているのがありがたい限り。倍の値段でも買ったでしょう。
[6月5日]
 一日がかりで長篇の訂正部分を直してプリントアウト。この状態でもう一度推敲してFDを作れば渡せる状態になる。あとは短篇三本を順次仕上げていけばいいのだが、連載の作中作も一つ残っているから今月は実質四本。止まっているもう一つの長篇と今後のプロット作りなども気になっているけれども、さすがに手が回らない。一部では「三人いる」などと囁かれているようですが、人格ならいざ知らず生身は一人しかいないのだ。愚痴でした。
 小池滋『ゴシック小説をよむ』(岩波書店)を読了。幻想的掲示板にもちらっと書いたけれども、非常に示唆に富む好著である。第1講「ゴシック小説の誕生」における〈グランド・ツアー〉と〈ピクチャレスク〉は目からうろこが落ちた。それにしても、私はいつになったら「イタリアの惨劇」を読むのだろう?


[6月6日]
 短篇Aと作中作の光明がなんとなく見えたので、秋葉原に赴き寝室用のエアコンを買う。空気清浄器付きで省エネ設計だから一年中使えるらしい。これでますます出無精になるかも。
 柴田よしき『象牙色の眠り』(廣済堂出版)を読了。これはラストの余韻の残し方が秀逸。おかげでインスパイアされて一つアイデアのごときものが降ってきたのだが、プロットまで発展するかどうかはまだ疑問。


[6月7日]
 とりあえず作中作の第一稿が完成。しかしながら、これは連載の一パーツにすぎないのであった。短篇のかたわら長篇も再開、まだ光明は全然見えず。
 夢の体脂肪率ひと桁(現在の平均は13.5%)を目指し、シェイプループなるものを購入。でも、スクワットをやるたびに筋肉痛を起こして挫折しているようではこれ以上落ちないかも。


[6月8日]
 短篇Aの第一稿がようやくできる。推敲すべきものがむやみに溜まってきたな。
 さて、「四季の味」夏号が届きました。「随筆集四季の味」というコーナーに初の食い物エッセイ「無限を食す」を寄稿しています。ちょっと浮いてるんですけど……。
 この日記は異様に食い物の話題が少ないのですが、ここでとっておきのレシピ「クラニー焼きそば」をご紹介しましょう(ほとんどこれしか作らない)。フライパンに油を引き、丸大豆もやし一袋分を入れる。上から大量の味の素を振りかけて炒める。焼きそばはソースが粉末になっているものを使用。麺がほぐれたら、目玉焼き用のフライパンに卵を二個落として蓋をする。粉末ソースを入れて麺に行き渡ったところで皿に移し、上から目玉焼きを乗せる。さらに大量の青海苔を振りかけ、ウスターソースを少しかけて出来上がり。作って食べて洗い物が終わるまで所要時間十分強、とても手軽で材料費二百円弱と経済的です。試せとは言いませんけど。


[6月9日]
 短篇集のゲラを返送。短篇Bに戻るも調子出ず、連載と長篇Bを進める。夜は長篇Aの推敲。
 杉村顕道『怪談十五夜』(友文堂書房、昭二一)を読了。うーん、終戦直後にこんな浮世離れした本が出ていたとは。「ウールの単衣を着た男」でごく一部には知られている作者の怪談集で、話は古臭いものの飄々とした語り口が心地いい。ベストは「白鷺の東庵」、私も碁打ちなので結構怖かった。なお、「豆腐のあんかけ」によると、著者の実家は戸山脳病院を経営していたらしい。なるほど。


[6月10日]
 短篇B、長篇B、連載を進め、長篇Aの推敲。当分、自分の小説と資料用の本しか読めそうにない。


[6月11日]
 午前中に長篇のFDを作成、午後はエアコンの取り付け。いままでは部屋に設置されていたので、取り付けに立ち会うのは初めて。私には絶対つとまらない商売である。電動ドリルの使い方などを観察。
 畑山隆則、WBA世界ライト級タイトルをKOで奪取。セラノはライト級にしては弱いチャンピオンなのだが、快挙に変わりはない。畑山の試合はボクシングおたく時代に生で何度か見ているけれども、はっきりベストバウト。天才とはいいものである。
[6月12日]
 短篇Bの第一稿を書き上げ、中篇のプロットを作ってから高田馬場へ。服とCDと本を買ったあと六時より祥伝社のY田さん、K藤さんと打ち合わせ。Y田さんに長篇の原稿を、K藤さんにプロットを渡す。ただ、刊行時期は文庫書き下ろし中篇のほうが先になる模様。うーん、一冊渡してこんなに解放感がないのは初めて(笑)。そのあとは、私よりひと回りも若いのに新婚のY田さんから事情聴取など。八時に帰宅したもののさすがに仕事をする気力がわかず、カラオケの練習に逃避。


[6月13日]
 短篇Aを仕上げ、短篇Cに戻るも調子出ず。長篇を少し進めたあと連載に移り、とりあえず中篇を起稿だけしておき、夜は各種の資料を読む。なんだか頭の中がぐちゃぐちゃになってきたんですけど。
 俳句同人誌「豈」32号が届きました。「妖怪十五夜」という妖怪連作を発表しています。原稿を送ったのはずいぶん前なのだが(次号の原稿も三カ月前に送ってある)、まあ同人誌というのは遅れるものですから。次はバレ句の連作を企画しているけれども、なかなか俳句モードにはならず。


[6月14日]
 一時より神保町で集英社「小説すばる」のK原さん(新担当)、O合さん(お目付役)と打ち合わせ。今月一つ目の短篇の原稿を渡す。これでゆるやかな連作は残り四本、来年には完結します。例によっていづもそばで食事をしたあと資料捜し、白川静『字統』(平凡社)、松田隆夫『視知覚』(培風館)の二冊に絞って購入。
 山本夏彦『完本 文語文』(文藝春秋)を読了。山本夏彦と前田愛がほぼ同じことを言っているのは興味深い……と書くと、きっと誤解をする人がいるだろう。


[6月15日]
 連載はめどがついてきたものの、全体にすこぶる不調。早めに打ち切って推敲に移る。
 主食をシリアルに変えようかと思い、ガラスの器とスプーンを買って試してみる。牛乳をかけるだけだから楽なのだが、噛まなければならないのはちょっと面倒。やはり蕎麦のほうがいいな。


[6月16〜17日]
 連載の第一稿を完了させてからミーコを連れて歌舞伎町へ、ロフトプラスワンの「新耳袋」トークライブに赴く。十一時過ぎに行ったらすでにかなりの行列、おかげでいつもの座敷が取れず、岩井志麻子さんなどとともに控室で聴く。印象に残ったのは×××殺人や××工事……って伏せ字ばかりですが、書けないのである。活字にできない水面下の話はトークで……と宣伝したりするとまた混むからなあ。動くパネルなど映像もインパクトがあり、すっかり眠気が醒めた。朝の五時に終了後、幻の座敷組でお茶を飲んでから帰宅。
 三時過ぎまで寝たものの執筆する気力はわかず、推敲とカラオケの練習に専念。


[6月18日]
 とりあえず短篇Bを仕上げ、短篇Cに戻る。
 読了したのは資料用の丹羽基二『漢字の民俗誌』(大修館書店)、杉本つとむ『常用漢字にない漢字の辞典』(日本実業出版社)のみ。いろいろ手を出すよりは『字統』の怖い漢字に附箋をつけて読んだほうが得策かも。泣く子と字統には勝てぬ。失礼しました。
[6月19日]
 短篇Cの第一稿が完成。これで週末から始まる怒涛のパーティ・ラッシュに対応できそう。なんだか疲れたかも。


[6月20日]
 二時より「問題小説」のグラビアの取材。担当のK地さんと日暮里図書館の前で待ち合わせ、まず近くの公園で撮影する。あ、秘書と代わります。
 みなさん、こんにちは。黒猫のぬいぐるみのミーコ姫です。きょうはクラニーといっしょにお写真をとってもらいました。でも、とってもあつかったです。カメラマンさんが「目線をください」と言うのでミーコがお顔を向けたら、「猫ちゃんじゃなくて先生です」と言われてしまいました。すごくむずかしいです。ミーコはいろんなポーズをとったのでつかれました。おわり。
 マンションに戻って短篇を渡したあと、今度は部屋で撮影。まず、ふだんはネット専用のノートパソコンを叩いているシーンを撮る。いかにも仕事をしているみたいだけど、実はリニューアルされたばかりのワセミス・ホームページの掲示板に投稿していたのだった。続いて、書斎のベッドで本を読みながらくつろいでいるシーンを撮影。カメラマンさんの注文に応えてポーズを取ったのだが、絶対こんな不自然な姿勢で本は読まんぞ(笑)。腰が痛くなったころようやく終了。
 間髪を入れず明日締切のグラビア用エッセイを書き、連載を仕上げる。ほっとした瞬間に短篇のゲラが届く。今日も疲れたな。


[6月21日]
 短篇の山が越えたので中篇と長篇に専念。ただ、ふと思い出したのだが、すでに第一回配本が出ている〈ミステリーの本棚〉の翻訳が完全に止まっているのだった。
 有栖川有栖『幽霊刑事』(講談社)を読了。これはエンターテインメントの鑑のような作品。もっとウエットなのかと思いきや、ユーモアも配合されていてリーダビリティ抜群。なるほど、これは売れないはずがないよなと作家モードで感心、私が「幽霊刑事」を書くとしたら……としばらく考えてみたのだが、邪悪で後味の悪い話しか思いつかなかったのであった。


[6月22日]
 長篇が二百枚をクリア。ただ、五百枚コースにつきまだ折り返しは先。
 中村雄二郎『共通感覚論』(岩波現代文庫)をやっと読了。もちろん資料用で、第二章「視覚の神話をこえて」などがとても参考になった。ただ、後半はやはり哲学は前向きだなと白ける部分がなきにしもあらず、ネガティヴな共通感覚だってあるだろうと思ってしまう。根が暗くてすいません。
 五條瑛『スリー・アゲーツ』(集英社)もようやく読了。スパイ物って挫折したことはあるけど完読した記憶が皆無(私はあんまり男の子ではないので)、これも二段組で長いからどうかなと思ったのだが、文章のリズムが肌に合うから最後まで読めた。なんだか感動してしまった。


[6月23日]
 ミーコとともに新潮四賞のパーティに出席。場所はホテルオークラ別館で、ここは初めて。贈呈式では山本周五郎賞の岩井志麻子嬢が「こんな新大久保の路地に立っているような格好で……田舎者なので何がおしゃれかわからないんです」と挨拶。これは誇張でも謙遜でも冗談でも何でもなく、まったくその通り。先週のロフトプラスワンで衣装を新調したという話をしていたから、せめてボッタクリ風俗店のマダムのような格好で来るのかと思いきや、黒のミニに網タイツ、同じく黒いエナメルのハイヒールにバッグ、上着はパープル系の柄模様、どこから見ても街娼である。パーティの初対面は森青花さんなど。受賞者御席が空いていたので、勝手に日本変態大賞を作って森奈津子さんなどとくつろぐ。困った人たちである。田中啓文さんはなぜかスーツにネクタイ姿。今日の受賞者ならいつものTシャツでいいのに。会場で「メフィスト」の原稿を渡して一段落。では、秘書と代わります。
 みなさん、こんにちは。黒猫のぬいぐるみのミーコ姫です。ミーコはたくさんのかたがたにとってもかわいがっていただきました。わーいわーい。それから、志麻子さんのおまたにはさんでもらってお写真をとりました。なんだかちょっとおとなになったような気がします。おしまい。
 二次会は銀座のワインバー。角川書店のK良さんから瀬名秀明さんの次にスピーチを依頼されたのだが固辞してアズレーに振ったところ、前の晩から原稿を考えてきたような内容だったので感心。その後、某氏のスピーチに鋭い野次が飛んで会場が凍りついたり、わりと見どころが多かった。志麻子嬢はここでも「週刊大衆の人妻エロスに出たいから偽装結婚したい」などといろいろ飛ばしてました。というわけで、今日はカラオケにも行かずまじめに帰宅。


[6月24日]
 短篇がなくなったとたんに執筆枚数が減る。複数の仕事を同時進行したほうが捗るのは異常体質かも。
 加藤弘一『電脳社会の日本語』(文春新書)を読了。JISの幽霊字など読み物としては興味深いのだが、あまり参考資料にはならなかった。


[6月25日]
 世間は選挙のようだが、保守系ヒコクミンの私は一度も投票などしたことがないから関係ない話である。幻想文学会にはこういう人が多く、飲み屋で説教されたこともある。いずれ自分の名前でも書きに行こうかな。
 ミステリーのアンケートがあるので未読を消化せねばならないのだが、なかなか捗らず。とりあえず折原一『耳すます部屋』(講談社)のみ読了。ちょっと盲点になりそうですが「鬼」は百物語ものの異色作なので要チェック、と誰にともなく。
[6月26日]
 昨日は執筆をお休みにしたのだが、物を書くのは根っから好きなので掲示板の投稿がむやみに増えてしまった(あまり出ないようにしているのです)。反省して今日は朝から翻訳と中篇と長篇、次のプロットに少しだけ手を回す。
 幻想的掲示板にも書きましたが、『この文庫がすごい!2000年版』(宝島社)にアンケートを寄せています。


[6月27日]
 ミーコを連れて新橋の第一ホテル東京へ、推理作家協会賞のパーティに初参加。入口で今日はスーツにネクタイ姿の浅暮三文さんにバッタリ会う。授賞式では天童荒太氏が読者の感動的な手紙を三通読み上げるという異色のスピーチ。私が同じ手紙をもらっても「うざったいな」と思うだけだろうから、このあたりがやはり売れ行きの大きな違いにつながるのだろう。受賞者に本格系がいなかったせいか、知り合いの作家率はやや低め。会場で今月最後の短篇を渡し、ほっとひと息つく。初対面は山田正紀さん(緊張しました)、すがやみつるさん、鯨統一郎さんなど。例によって秘書と代わります。
 黒猫のぬいぐるみのミーコ姫です。受付にいらした宮部みゆきさんにかわいがっていただきました。ミーコも次から受付嬢をやろうかにゃ。パーティのあと、泡坂妻夫さんのマジックを十人くらいで見ました。ミーコはいちばん近いところで見てましたが、コインもカードもぜんぜんタネがわかりませんでした。とってもすごかったです。おわり。
 一緒にマジックを見ていた柴田よしきさんなどとともに中華料理屋で二次会。よもやま話をしたあと、十一時過ぎから柴田さん、愛川晶さん、読売新聞社のI田さんとカラオケ。四人で三時間はちょうどいい感じかも。愛川さんの歌は初めてでしたが、森高千里から中島みゆき(しかも「化粧」と「怜子」)まで幅広い。まあしかし、芸域の幅広さで私が負けることはまずないのであった。三時過ぎにタクシーで帰宅。お疲れさまでした。


[6月28日]
 執筆する気力がわかないのでプロット作りに専念。かたわら、昨日あわてて買った噂の大信田麗『フェイク!』(幻冬舎)を読了。うーん、メタとしてはそんなにハイレベルとは思えないのだが、ディテールなども含めてそれなりに面白くは読めた。なお、疑う人はほとんどいないと思いますが念のために断っておきますと、私は幻冬舎から『赤い額縁』を出しているメタミステリ大好きのホラー作家ですが大信田麗ではありません(作者の正体も知りません)。大信田麗って大信田礼子からとったとしたら、作者はかなりおやじかも。


[6月29日]
 蒸し暑くて四時半に目が覚めたので仕事を開始したのだが、いかにも無謀。結局寝直したから効率が悪かった。何をやってることやら。
 もう消化しきれないことは目に見えているのだが、とりあえず国内ミステリを四冊読了。柴田よしき『貴船菊の白』(実業之日本社)は表題作が好み。なるほど時効にもデジタルとアナログがあるんですね。またアイデアの芽が一つ生まれたかも。黒田研二『ウェディング・ドレス』(講談社ノベルス)は、体脂肪率が20%くらいあればツボに来ていたと思います。トリックなどは面白いのですが。逆に、服部まゆみ『シメール』(文藝春秋)は服部作品にしては体脂肪率がやや高めだったかな。キイワードは森茉莉か。北川歩実『影の肖像』(祥伝社)は勝手にメタを期待してしまった私がいけない。つくづくわがままな読者かも。


[6月30日]
 今月はノルマを達成したのでプロット作りに専念。一応プロットの下書きはできたけれども、スタートラインからゴールを望むとハードルが百くらい並んでいるように見える。
 今月の執筆枚数は260枚、執筆稼働日数25日、平均執筆枚数は10.4枚でした。大きな山を越えてほっとしていたのだが、ふと気づくと今年中に渡す予定の書き下ろしがあと三冊、翻訳を含めると四冊ある。げそっ。