[7月1日]
 読書メモです。小説は読了順に我孫子武丸・牧野修・田中啓文『三人のゴーストハンター』(集英社)、西澤保彦『謎亭論処 匠千暁の事件簿』(ノン・ノベル)、鯨統一郎『九つの殺人メルヘン』(カッパノベルス)、東野圭吾『超・殺人事件 推理作家の苦悩』(新潮社)、松浦寿輝『巴』(新書館)、柴田よしき『淑女の休日』(実業之日本社)、浦賀和宏『眠りの牢獄』(講談社ノベルス)、鳥飼否宇『中空』(角川書店)。アンケートはある程度のサンプル数がないと答えられないのですが、当然のことながら増えれば増えるだけ迷いますね。「巴」と「ペニス」で迷うのは正しいような気もするけど(ラストは対照的)。「巴」は内容もさることながら舞台に土地鑑があるので耽能しました。もっと筋がなくてもよかったくらい。西澤保彦はやはり邪悪だとか(疑う向きは「消えた上履きの問題」「印字された不幸の手紙の問題」の動機を噛みしめてみてください)、「九つの殺人メルヘン」P82に『四重奏 Quartet』と「ふえたこ日記」を読んでいてもわからないかもしれないネタが振られているとか(一発屋にはちょいとうるさいので細かいツッコミですが、P165の桜たま子「おじさん」は桜たまこ「東京娘」が正しいです)、もし「四人のゴーストハンター」だったら重要人物をつい勢いで殺してしまっただろうとか、コメントしているとキリがないのでこの辺で。小説以外は松沢呉一『新宗教の素敵な神々』(マガジンハウス)、橘蓮二写真・高田文夫監修『写真集おあとがよろしいようで』(ちくま文庫)、藤井康宏『洗脳ごっこ』(毎日新聞社)、春日武彦『子供のまま大人になった人たち』(角川春樹事務所)、野矢茂樹『哲学の謎』(講談社現代新書)、浅羽通明『教養論ノート』(幻冬舎)。今週も逃避しすぎでした。
[7月2日]
 短篇をメールしたあと、四時に音羽の出版芸術社で打ち合わせ、初期短篇選集の原稿を渡す。ご老体の社長さんを動かすのも何だから、著者自ら届けに行った次第。ふしぎ文学館の一冊でタイトルは『百物語異聞』、刊行はいちおう九月の予定です。近くのファミレスに移動し、H田社長の昔話などを拝聴。記憶力にかけては日下三蔵は三島由紀夫の再来らしい。その後、軽くなったバッグに池袋でまた本を埋めてしまう。購入したのは伊藤進『怪物のルネサンス』(河出書房新社)、山北篤/佐藤俊之監修『悪魔事典』(新紀元社)、リチャード・ザックス『闇の世界への招待状』(KKベストセラーズ)、イアン・ワトスン『オルガスマシン』(コアマガジン)など。秋からの連載に備え、どこまで読んだのか記憶が定かでない『死霊』の全集版も買う。本ばかりではいかがなものかと思い、黒服も調達。ただ、夏でもド真っ黒な服ばかり着る人は少ないと見え(確かに暑いんだけど)、気に入ったものを探すのがひと苦労。やっと見つけたと思ったらサイズがLしかなかったりする。


[7月3日]
 長篇Bのあと長篇Aに移ったらいっこうに進まない。昨日は逆だったのだがテンションは日変わりである。


[7月4日]
 一日の目標ノルマを10枚から8枚に減らそうかと思うくらい進まないので逃避です。「自分を表現する」という口当たりのいい言葉があって、そんな確固たる自分がある人、さらにそういった主体からイデオロギッシュな発言ができる人は単純でいいなと皮肉の一つも言ってみたくなるのですが、それはまあそれとして「自分探し」というタームもありますね。しかし、自分というものは探せばすぐ見つかるのだろうか? 私の場合は心の闇が迷宮のように広がっており、黒い砂でできた壁際を照らしていくと人形の首や足などが見つかったりします。それを組み立てると「自分のようなもの」にはなるのですが、やはり違う。そこでぐちゃぐちゃに壊したり火をつけたりしてまた別の心の闇を照らす。そんな作業を繰り返しているような気がします。いや、べつに暗くなってるわけじゃないんですけど。


[7月5日]
 長篇Bを進めたあと、行きつけの金町東急(地味)で黒服とスラックスを調達する。帰りに靴も買う。ずっとサイズは25.5だと思っていたのだが、どうやら25が正解らしい。なぜいまごろ気づいてるのだろう。


[7月6日]
 こう暑いと頻繁に出歩く気はしないので、部屋にこもって仕事。ほかの仕事も気になるのだが、そろそろ長篇Bに集中したほうがいいかも。


[7月7日]
 みなさん、こんにちは。黒猫のぬいぐるみのミーコ姫です。きょうはミーコのおたんじょうびです。ミーコは三つになりました。わーいわーい。プレゼントやメッセージもちょうだいしました。ありがとうございます。クラニーはお祝いのケーキをかってきて一人でたべてました。これからも毎日クラニーせんせいとおはなししながらげんきで長生きできればいいにゃとおもいます。おしまい。


[7月8日]
 長篇Bが250枚をクリア。やっとピッチが上がってきた。
 読書メモです。読了順に小説は古処誠二『未完成』(講談社ノベルス)、大倉崇裕『三人目の幽霊』(東京創元社)、図子慧『閉じたる男の抱く花は』(講談社)、矢崎存美『ぶたぶた』(徳間デュアル文庫)。そろそろアンケートのタイムリミットですが、あまり読めなかったなあ。来週からはSFの予定です。ホラーはどうしたという声も聞こえますが、いろいろ浮気をすればこそ本妻のありがたみがわかるという譬えはきっと妥当ではないだろう。小説以外は桂枝雀『らくごDE枝雀』(ちくま文庫)、秦夕美『句集夢としりせば』(富士見書房)、滝川一廣『「こころ」はどこで壊れるか 精神医療の虚像と実像』(洋泉社新書)、ドリス・J・シャルクロス、ドロシー・A・シスク『直感 ひらめきの心理学』(日本教文社)、菜摘ひかる『風俗嬢菜摘ひかるの性的冒険』(知恵の森文庫)、桂枝雀『桂枝雀のらくご案内』(ちくま文庫)、『日本怪奇幻想紀行 六之巻奇っ怪建築見聞』(同朋舎)、石川元『こころの時限爆弾』(岩波書店)、一松信『暗号の数理 作り方と解読の原理』(講談社ブルーバックス)、永沢光雄『風俗の人たち』(ちくま文庫)、酒井和夫『分析・多重人格のすべて』(リヨン社)。『こころの時限爆弾』第六章では大坪砂男「天狗」の新解釈が展開されているのでそっち方面の研究者やファンは要チェックなのですが、こういう無粋な近代文学研究的アプローチ(何かトラウマがあるらしい)ならパトグラフィーのほうがマシのような気も。
[7月9日]
 アンケートを送付し、長篇Bを進める。短篇なら渋くまとめられるのですが、どうも長篇は暴走しがちでふと気づくと屍体の山(笑)ということがよくあります。数えてないけど「ブラッド」より死んでるかもしれない。
 さて、SF大会のプログレスレポート2が届きました。ぬいぐるみ参加者の部屋のゲスト欄に「新井素子 倉阪鬼一郎 大和眞也」と書いてありますね。うーん、間寛平が宝塚に出て「血ィ吸うたろか」をやるようなもんだなあ。なお、内容はパネルではなくお茶会で、私はミーコ姫のカバン持ちです。


[7月10日]
 六時より東京會館、第8回角川ホラー大賞の受賞パーティに出席する。その前にラウンジで角川書店のK田さん、S戸さんと書き下ろし長篇の打ち合わせ。宗教をテーマにしたホラー・ノワールを書くなどとまた風呂敷を広げてしまった。ほうぼうで広げてるから畳むのが大変なのだが。その後、竹本健治さんが合流、文壇囲碁名人戦の中止を嘆く。公式戦デビューの予定だったのに。パーティは例によって記憶が混濁していますが、受賞三作はどれも面白そう。初対面は中村うさぎさんなど、久々にお会いしたのは奥田哲也さんなど。牧野修さんと「関西は嫌いだ」話とか有栖川有栖さんと盆地文学の話とか。調べてませんが盆地出身の冒険作家はまずいないと思います。誰か「盆地文学論」を書いてくれないかしら。二次会は十数名でラウンジ。田中啓文さんと「青菜」の話など。今週は金曜日もパーティなので三次会はパスして十時過ぎに帰宅。では、秘書猫です。
 黒猫のぬいぐるみのミーコ姫です。ミーコとまったく同じおともだちがいてびっくりしました。飼い主はカドミスの読者代表の方で、名前はひらがなのみーこちゃんです。プレゼントもちょうだいしました。C塚さんの掲示板でごいっしょしているかふさんにもお会いしました。おともだちがふえてミーコはうれしかったです。おしまい。


[7月11日]
 連載のゲラを返送し、長篇Bの追い込み。
 同文書院と東京地方裁判所から債権者関係の書類が同時に届く。再生計画案を読み、計算してみてがっくり。取りはぐれた『夢の断片、悪夢の破片』の初版印税はこれだけしか戻らないのか(しかも分割の最終が平成23年6月)。バカバカしいから裁判所へ行くのはやめた。ちなみに、同書はまだ書店注文が可能です。


[7月12日]
 暑いので部屋に引きこもって仕事。特記事項なし。


[7月13日]
 六時より新宿京王プラザホテル、エニックスエンターテインメントホラー大賞のパーティに出席する。長篇Bの版元なので着くなり仕事の話。ピッチが上がって300枚をクリアしたから月末には完成するでしょう、たぶん。初対面は立原とうやさん、長篇Bのイラストレーターの槻城ゆう子さん、「活字倶楽部」のT井編集長とT端さんなど。これで二十日間で四つ目のパーティ、すっかりどこにでもいる人と化してしまいましたが、今後はセーブも検討中。暑さで消耗したから今日もおとなしく十時ごろ帰宅。では、秘書猫です。
 みなさん、こんにちは。ミーコはおめかししてピンクのネックレスをつけていきました。とってもこうひょうでした。高野史緒さん、森奈津子さん、図子慧さん、松木美紀さん、岡本賢一さんなど、たくさんのみなさんにあそんでいただきました。ありがとうございます。では、ごきげんよう。


[7月14日]
「小説すばる」8月号が届きました。「卵」という短篇を寄稿しています。ゆるやかな連作はいよいよ次が最終回、思い切りわがままなエイクマン風の短篇を書こうかなと思っています。
 もう一冊、日本推理作家協会編『ミステリー傑作選・特別編5 自選ショート・ミステリー』(講談社文庫・648円)も届いています。拙作「階段」が収録されています。ごく一部ではアンソロジー・ピースになってもおかしくないと言われていた作品なのですが、やっと初収録。長い道のりであった。


[7月15日]
 読書メモです。小説は読了順に、小林泰三『AΩ』(角川書店)、京極夏彦『ルー=ガルー』(徳間書店)、イアン・ワトスン『オルガスマシン』(コアマガジン)。角川ホラー大賞のおりにちらっと話をしていたのですが、なるほど『AΩ』のガってそういう意味だったのね。わりと好きなコードですが、私はハードSFの素養がないからこういうふうには絶対書けません。あとの二作はネタがかぶっていないかとビクビクしながら読んでました。もう純粋な読者には戻れない、と愚痴を言っても仕方ないか。小説以外は上野正彦『自殺死体の叫び』(ぶんか社)、千田稔・宇野隆夫編『亀の古代学』(東方出版)、サユル・フリードレンダー『ナチズムの美学 キッチュと死についての考察』(社会思想社)。
[7月16日]
 短篇のゲラを返送してから長篇B。仕事ばかりで特記事項なし。


[7月17日]
 神保町でまた資料を調達したあと、五時より秘書猫とともに双葉社のH野さんと打ち合わせ、連載「The End」の構想を渡す。まだ今日起稿したばかりですが、ニュークラニー(古臭いキャバレーみたい)をお見せできるのではないかと思います。その後、蕎麦にうるさいH野さんのために切り札の一枚を切って室町砂場にご案内する。採点は85点でどうにか合格。神田のルノアールで話をしてから八時ごろ帰宅。詩や哲学の話など、久々に文学青年の昔に戻ったかのようでした(笑)。


[7月18日]
 月末の予定をあらかたキャンセルして自主カンヅメモード、長篇Bの追い込み。仮眠中に気色悪い夢を見る。ミーコのしっぽをつかんだまま寝ると悪夢を見る確率が高いです。


[7月19日]
 長篇Bが350枚をクリア。鬱陶しいので夕方に散髪。「あしたは海へ行く人が多そうですね」などと言われ、世間とのギャップを感じる。砂浜を素足で歩くのは厭だし(砂が沈んだりするとさらに厭だ)、気味の悪い生き物はいるし、海へ行きたがる人の気持ちはさっぱりわかりません。そもそも泳げないんだけど。夜は泥縄の資料読み。


[7月20日]
 長篇Bを少し進めたあと、頭から読み返す。文章に手を入れながらフォロー箇所に付箋を貼る作業。夜の十一時に終了。


[7月21日]
 黒猫のぬいぐるみのミーコ姫です。おしごとばかりでかくことがないから、おまえかけとクラニーせんせいがいいます。でも、ミーコもかくことがないの。早く夏がおわってすずしくなればいいにゃとおもいます。おわり。


[7月22日]
 読書メモです。読了順に小説は南條竹則『猫城』(東京書籍)、吉永達彦『古川』(角川書店)。『古川』は本来ならもっと評価すべき作品のような気もするけど、なにぶん関西は石もて逐われているのでいまひとつ乗れず。癒し系なら『猫城』は変態インテリ向け(たぶん)。小説以外はM・ラマー・キーン『サイキック・マフィア』(太田出版)、大塚英志『「彼女たち」の連合赤軍 サブカルチャーと戦後民主主義』(文藝春秋)、橋本治『「わからない」という方法』(集英社新書)、榊佳之『ヒトゲノム』(岩波新書)、スティーヴン・バン編『怪物の黙示録 「フランケンシュタイン」を読む』(青弓社)、柳澤桂子『われわれはなぜ死ぬのか 死の生命科学』(草思社)、ローリー・B・アンドルーズ『ヒト・クローン無法地帯 生殖医療がビジネスになった日』(紀伊國屋書店)、立花隆『人体再生』(中央公論新社)、ブライアン・アップルヤード『優生学の復活? 遺伝子中心主義の行方』(毎日新聞社)、瀬名秀明『ロボット21世紀』(文春新書)。『ロボット21世紀』はグッドタイミングでしたが、こんな小説の参考文献に使ったら気を悪くされるかも。
[7月23日]
 長篇Bのメドが立ってきたので夕方から浅草へ。久々に並木の薮でもり二枚を食したあと、ROXビルで7千円もする大きなキツネのぬいぐるみを買う。将棋の戦術書と黒服を購入してからバスで帰宅。
 大相撲名古屋場所回顧。ハイライトは史上初の8人による十両優勝決定戦でしょう。モチベーションが高かったのは魁皇とのアベック優勝を狙う戦闘竜、優勝が加われば再入幕の目が出てくる濱錦、ご当所の武雄山、それに若兎馬といったところ。戦闘竜は若兎馬との予選が取り直しになってガス欠、結局、武雄山が濱錦を破って優勝という意外な結果に終わりました。この一番は、ベテランが執念のちょん掛けで関取残留を決めた琴冠佑−光法戦。回顧と言いながら十両の話ばかりだ。


[7月24日]
 長篇B「BAD」の第一稿約400枚が完成、推敲作業に入る。それにしても、当初はブギーポップとかエヴァンゲリオンとか売れセンを意識してたのになぜこんな話になってしまったのだろう?


[7月25日]
 引き続き長篇Bの推敲作業。
 ジャンル経営論にはさほど興味はないのですが、一連の議論を外から拝見していてちょっとひと言(論点とはズレてますが)。ジャンルというものは中心と周縁が正しく機能してこそ発展するものでしょう。ひと頃ミステリーが独り勝ちの様相を呈していた要因の一つは、中心に〈本格〉という核があり、周縁がサブジャンルの核を形成しつつ膨張するという二段構えの構造になっていたことに求められると思います。ならば、他のジャンルも範に取ることができる。私もひと役買っていた〈本格ホラー〉というタームは順調に浸透しているようですが、「これはホラーではない」より「これは少なくとも本格ホラーではない」のほうがずっと響きが柔らかです。つまり、円形のテーブルからいきなり弾き落とすのではなく、二重円のテーブルの外側にそっと避けるわけですね。要するに、「これはSFじゃない」と言いたいところをぐっとこらえて「これは〈本格SF〉じゃない」と言うようにすればいいだけの話じゃないかと思うんですけど。


[7月26日]
 長篇Bの第二次推敲が終わり、プリントアウト作業に移る。
 さて、「週刊小説」8−10号が届きました。ホラー特集に「緑陰亭往来」という短篇を寄稿しています。同誌は二度目ですが前回が浴衣ホラーだったので、同じ和物で寄席ホラーを書いてみました。巻末の筆者近況にも登場しています。では、秘書猫よりひと言。
 黒猫のぬいぐるみのミーコ姫です、こんにちは。えっと、「小説推理」9月号がとどきました。西澤のおじちゃんのれんさいでミーコが大かつやくしてるよ。猫パーンチ!


[7月27日]
 訂正およびプリントアウト作業が終わる。予想どおり脱力気味でほかの仕事は進まず。各種の構想とプロットを若干進めただけ。夜は最終推敲に着手。


[7月28日]
 長篇Bの最終推敲を終え、訂正後にFD作成。やれやれ、どうにか間に合った。


[7月29日]
 読書メモです。小説は読了順に短い感想つきで。桐生祐狩『夏の滴』(角川書店)は随所に垣間見える邪悪なセンスはグッドなのですが、モダンホラー的にはもうひと理屈欲しかったかな(やや据わりの悪い評言)。レイ・ガートン『ライヴ・ガールズ』(文春文庫)は夏向きの爽快な小説(でいいのか?)ですが、あまりにも待たされすぎたので期待値は下回ったかも。岩井志麻子『夜啼きの森』(角川書店)は背景の森と月の使い方、かなり調べているのにベタベタ書かない処理の仕方など、短篇作家ならではの技巧的部分が相変わらず上手い。ちなみに私は津山三十人殺しフリークで小説化作品はもとより筑波昭『津山三十人殺し』を三回読んでいたりするのですが、自分が作品化するなら村の秀才で小説も書いていた犯人の自我がむやみに肥大して狂気に高まりやがて暴走する……って結局「田舎の事件」にしかならないではないか。田中啓文『ネコノメノヨウニ…』(集英社スーパーダッシュ文庫)はオチの予想が完全に外れました。「火盗り賊」は媒体を間違えたかのような力作。小説以外は荒木創造『ストーカーの心理』(講談社+α新書)、田丸昇『詰め方カタログ』(創元社)、山元大輔『遺伝子の神秘 男の脳・女の脳』(講談社+α新書)、東雅夫『百物語の百怪』(同朋舎)、西ゆうじ『クラシックカメラ物語』(主婦と生活社)、大内延介『穴熊戦法』(創元社)、江成常夫・松本徳彦『モノクローム写真の魅力』(新潮社)。写真はべつに趣味じゃなくて、次の短篇の資料です。
[7月30日]
 一時より日暮里ルノアールでエニックスのA島さんと打ち合わせ、「BAD」の原稿を渡す。いちおう九月刊行予定です。その後はディック、バラード、アンナ・カヴァン、カルヴィーノなど、なぜかSFの話ばかり。帰宅後は連載などを少し進めたものの、まだ反動が出ているので夜は読書に専念。
[7月31日]
 八時より御茶ノ水パセラ、第5回神保町歌謡祭に参加する。しばらく山崎ハコしか歌いたくない病に罹患していたため、今回がリハビリカラオケ。メンバーは集英社C塚、T永、西澤保彦、浅暮三文、東雅夫、AZM。初めて歌ったのは「月光」「あなたのブルース」「うしろ姿」など。このところ鬼束ちひろに凝ってるんですけど、やはりウケたのは矢吹健だったか。あとは西澤さんと「ドール」をデュエットなど。残ったメンバーによるヒットパレード潰しは90年までわりと順調に進み、95年で玉砕して一時前に終了。前回はレジでAZMさんが難問に正解して一万円のお食事券をゲットしたのですが、今回は箱に入っている百のボールから取り出した数字が店員さんと一致したらグループ全額無料になるという趣向。この1%の確率を西澤さんが見事クリア、店にとっては迷惑な客かも。では、秘書猫です。
 黒猫のぬいぐるみのミーコ姫です。モモンガのモモちゃんといっしょに参加しました。ミーコはこの日のためにれんしゅうした「七つの子」をうたいましたが、きんちょうしてちょっとふできでした。もっとれんしゅうしないといけないにゃ。みなさん、おつかれさまでした。おわり。