[12月1日]
四時ごろ比呂さんが拙宅に見える。問題になっていた箇所がクリアされ、メールが使えるようになる。過剰防衛反応によりボックスに余計なチェックを一つ入れてしまったのが失敗だったらしい。難しいものだ。その後は魔法使いのようにさまざまな設定をしていただき、Jeditまで使えるようになる。あとはディスクドライブを外付けしてメール送稿ができるようになれば完璧。メインの仕事は5年前に20万円もしたワープロ専用機(シャープのセリエ)で継続する予定ですけど。とにかく昨日とは見違えるような状態なり。ありがとうございました。風呂へ入ってからは旧プロバイダーを解約したり文書を作ってみたり、また夜中まで。


[12月2日]
昨日は3枚、今日は5枚と徐々に復活。
今週の読書メモです。小説は読了順に飯野文彦『惑わしの森』、鯨統一郎『CANDY』、高瀬美恵『スウィート・ブラッド』、森奈津子『かっこ悪くていいじゃない』、山田正紀『日曜日には鼠を殺せ』、瀬名秀明『虹の天球儀』(以上、祥伝社文庫)。小説以外は、増川宏一『将棋の駒はなぜ40枚か』(集英社新書)、松井孝典『惑星科学入門』(講談社学術文庫)、東浩紀『動物化するポストモダン』(講談社現代新書)、コンピューター・ウイルス研究会『コンピューター・ウイルスから自分のパソコンを守る本』(中経出版)、高橋敏昭『Macでいこう!』(技術評論社)。のんびりと感想を書くような気分じゃなかったので書名のみで恐縮です。


(12.3)
というわけで、今日からマックで日記を書いております。何か大きな失敗をするような気もするけど。
とりあえず連載と短篇を最後まで書き、西日暮里のハンコ屋で年賀状と新しい名刺(今度はイエローカード)を発注したあと、谷中経由で帰宅。アンケートをマックで書き直してメール。あとは原稿の推敲に移る。11時に力つき再びマック。Jeditの登録が完了したから明日から心おきなく書けるぞ。


(12.4)
どうにか連載を仕上げる。頭から抜けつつあった長篇を読み返し、夜は短篇の推敲。
井上雅彦監修「夢魔たちの宝箱 井上雅彦の異形対談」(メディアファクトリー/1500円)が届きました。「ダ・ヴィンチ」連載の対談に増補したものです。


(12.5)
1時半に秘書猫をつれて飯田橋、双葉社のH野さんと打ち合わせ、連載の原稿とFDを渡す。最低ラインの30枚だけど間に合ってよかった。昼食は中村屋という蕎麦屋、三色そばが結構でした。ウイルスの感染経路の話など。喫茶店で昔話をしたあと、秋葉原のMac館でUSBディスクドライブと多数の参考書を購入。さっそく現在試しております。DOS変換した前の日記の取込みに成功したから、ちゃんと読めるように送れれば完全復活です。
12.6
 短篇の原稿とゲラを速達で送付。やっと目先の締め切りがなくなる。その後、来年の執筆予定を作っていて愕然とする。年内完成予定だった長篇Bがべたべたに遅れてるのに乗り切れるのだろうか?
 探偵小説研究会編「2002本格ミステリ・ベスト10」(原書房/800円)が届きました。国内・海外アンケートおよび作家の近況に登板しています。特殊小説家はアンケートでもいろいろと凝ったことを考えるので(すぐ上の覆面作家ほどではないですが)、今年の国内では見立てと騙し絵をやってみました。おかげで「眩暈を愛して夢を見よ」が縛りに合わずに外れてしまったんですけど。また、拙作「四重奏」が15位にランクインしております。「赤い額縁」がベスト20の次点だったのでリベンジを果たせました。ありがとうございます。翻訳を除けば「このホラーが怖い! 99年版」(というものがあったのですよ、1年だけ)の3位以来、次はSFで三階級制覇を狙おうかな。


12.7
 長篇B・Cを進めるも反動で調子出ず。北千住で本と黒服を買う。


12.8
 ブラニーの電話で難を逃れたと思っていたのだが、実家もウイルスにやられていたらしい。昨日やっとパソコンを修理に出したようだ。自分のことにかまけていてフォローが遅れてしまった。 うちの親のようにさっぱり何もわからないままパソコンを使っている人は田舎に多いだろうから、狭い業界やサークルで終息に向かっても全国規模ではどうでしょうか。また新手のウイルスが来るからメーラーを変えるように言ったんだけど、さて通じたかどうか。
 連載、長篇B・C、中篇、連作短篇Bを進め、次の短篇をとりあえず起稿する。十枚以上書いたのは半月ぶり。夕方は「このミステリーがすごい! 2002版」を購入し、喫茶店で読了。「四重奏」は13点で28位でした。15位や28位で素朴に喜んでるから欲がないとか言われるような気もするんだけど。池波志乃さんに「サイト」を2位に挙げていただいたのもうれしかったです。出来の悪い(あまり評判にならない)子供ほど可愛かったりするもので。
 

12.9
 連載、長篇B・Cを進める。やっと元に戻った。夜はマックの設定の続き。ウイルスに関し、「こんなマイナーな組み合わせでしか発動しないウイルスを作るやつはおるまい」という環境に設定し、なおかつ添付書類やフリーウェアなどに注意してアンチウイルスを最強モードで稼動させるという基本方針を固める。すべてをチャラにしてマックに乗り換えたんですけど、IEとアウトルックの組み合わせはマック用でもなんとなく不安なので(後遺症が残っているらしい)ブラウザとメーラーをいったんネスケに変える。しかしこれは違和感があって使い勝手が悪いのでやむなく戻す。やはりメールソフトを買いに行かねば。続いてポストペットの設定をしたのだが、中途半端なところで止まってしまう。猫のミーナちゃんはお出かけに行ったまま帰ってこない。困ったものだ。


12.10 
 連載、長篇B・C、中篇を進める。久々にマックがフリーズしたけど、さほど動揺はしなかった。なにしろwin機は電源が切れたら驚いてしまうほどのひどい状態だったので、ちゃんと切れるのはありがたい。少数派が好きだしマック転向は懸案だったのに、もっと早く乗り換えておけばなあ。


12.11 
 短篇と連作短篇Bを進めたあと、五時より神保町・古瀬戸で祥伝社のY田さんと打ち合わせ。来年書く伝奇ホラーの件で亀の資料をいただく。折を見て資料読みと調べ物もせねば。あとはウイルスや企画の話など。その後は秋葉原まで歩き、性懲りもなくMAC館へ。今日はメールと将棋のソフトを買う。メールソフトはEudoraにするつもりだったけど、実物を見て設定が比較的楽そうなARENAに変更。帰宅後にさっそくインストールして登録を済ませたのだが、例によって送信はできても受信できない地獄に陥る。ここで頭を冷やしてマニュアルを熟読し、ようやく受信に成功。これから徐々に使いやすい設定にもっていけばOKであろう。マックでメーラーが国産のARENAだからウイルスには強いぞ。それでもプレビュー機能を消そうとしている自分が少々哀れだったりするけど。
 

12.12 
 短篇と連作短篇Bなどを進めたあと、五時より神保町・古瀬戸で角川書店のK田さんと打ち合わせ。昨日とまったく同じである。来年書く予定のノン・スーパーナチュラル系ホラーもしくはゴシック風味の犯罪小説について。ホラーノワールのつもりだったのですが、ジム・トンプスンを読んでもピンと来ないし、どうも違うようなので。その後は出雲そば、いつものざる豆腐とのやきかまぼこと割り子の四段を食す。かつて角川文庫から「怪奇と幻想」というアンソロジーが出ていたなどという昔話をしていたような気がする。歳である。黒いブルゾンを買って八時に帰宅、あとはARENAの設定とカスタマイズ。POPのマウントと選択受信という便利な機能があることを発見する。これならウイルスメールを速攻で削除できるし、仮に読んでもダウンロードしたことにはならないから、メールに関しては鉄壁の構え。というわけで、一歩ずつローテクから脱しつつあるクラニーでした。
 

[読書メモ]
(小説)菅浩江「アイ・アム」、田中啓文「星の国のアリス」、新津きよみ「さわらないで」、柴田よしき「Vヴィレッジの殺人」、久美沙織「いつか海に行ったね」(以上、祥伝社文庫)、ヴィルジニ・デパント「バカなヤツらは皆殺し」(原書房)、ジム・トンプスン「ポップ1280」(扶桑社)、河野多恵子「半所有者」(新潮社)。
 昔から薄い本が好きなので(読書にもでぶ専・やせ専があるかも)、中篇はさくさく読めてありがたいですね。しかし、書き手にとってはめちゃめちゃ難しい。長めの短篇でも短かめの長篇でもいけないんですから。まだ「文字禍の館」しか書いてませんけど、私の持ち球で中篇向きなのは仕掛け本と怪奇小説かな? 薄い本と言えば、「半所有者」は凄いぞ。たった44ページ、1ページに十行しか入っていない。正味は40枚もないのではないだろうか。短篇一つで本になるような作家になりたいものですね。
(小説以外)森英俊編「ミステリ美術館」(国書刊行会)、森谷健一「セキュリティ術自分で守るパソコン」(西東社)、「夢魔たちの宝箱 井上雅彦の異形対談」(メディアファクトリー)、渡辺竜生「すぐ効くMacOS9のトラブルシューティング」(毎日コミュニケーションズ)、アート・サプライ編「推理力」(双葉社)、保坂庸介「救急マック」(翔泳社)、キャロライン・ケトルウェル「スキンゲーム」(青山出版社)。
 「スキンゲーム」は20年間自傷行為を繰り返してきた女性の自伝。ディテールは光るけど遺稿だったらなおインパクトがあったのに、というのは鬼畜な感想だな。なお、「ホラー美術館」が出たら少なくとも私は買います。我孫子さんの猫ポーズを見たい方は「推理力」をどうぞ(笑)。
12.13
 連載・長篇B・C・連作短篇Bを進める。長篇Bはやっと150枚をクリア。マックはAppleWorks6に移る。とりあえず使うのは表計算、来年の青色申告(いままでは白色)の資料はパソコンで作ろうと思っているのである。私は十万円コースだから、面倒なソフトを入れなくてもこれで十分だろう。カルクの設定だけして数値の打ちこみは後日。ただ、ここで大きな落とし穴に気づく。私はプリンターを持っていないのだ! ほかにも用途があるからやはり買わねば。ビギナーの行く手はハードルばかりなり。
 

12.14
 連載・長篇B・C・中篇・短篇を進める。タイムシンクロナイザとかソフトアップデートスケジュールとか、使ってる覚えのない機能のおかげでフリーズしたので、シャーロック2で検索して場所を突き止めバシバシ殺したら調子が良くなった。これでいいのかしら。
 

12.15
 六時より神保町「橋」で行われた古典SF研究会の忘年会に参加する。天野護堂新編集長より正会誌「未来趣味」9号をいただく。「古典SF俳句入門」という短いエッセイを寄稿しています。同誌の詳細については森下一仁さんのHPをごらんください。例によって長山靖生さんにたくさんサインしたあと(作者も失念している短歌を書かされたりする)しばらく歓談。西崎憲さんとは久しぶり。マックの話など。二次会はシャノワール、本の収納法とか翻訳とかいろいろ。蔵書数が一万冊に満たない私はいたって少ないほうで、メンバー全員の蔵書を併せると日比谷図書館を軽く凌駕するという恐ろしい会なのだ。「秋山正美が死んだ」とか「九十九十郎は千草忠夫のペンネームだった」とか、マニアックな話多数。十一時過ぎに帰宅。
 

12.16
 一時より高田馬場の雀荘で開催された第3回水庭杯に参加する。八人が二卓に分かれて予選を四回戦、各上位2名がA卓、下位2名がB卓で決勝二回戦を行い、総合ポイントで優勝者を決めるという方式。結果は以下の通りです。
優勝 西東京伝 +269
2位 クラニー +102
3位 みえぞうこと高瀬美恵 +73
4位 音羽亭こと森英俊 −50
5位 ブラニー −95
6位 木原浩勝(徹夜明けにつき1回戦は代走) −98
6位 比呂 −98
8位 MANTRA −103
予選四回戦で高瀬さんに親の四暗刻をツモられたのだが、必死にマクってトップ。決勝一回戦でも連続トップを取り、最初から飛ばしていた初参加の強豪・西東京伝さんをついに逆転する。そして迎えた最終戦の東一局、西東京伝さんがMANTRAさんから親の四暗刻単騎(高いほうのクンロク)を和了、この時点で終わりました。なんだか凄かったです。これで今年は打ち納めですが、トータルのノー沈み記録を継続、半荘28回でラスは1回だけだったから上出来でしょう。終了後は十二時半ごろまで飲んで帰宅。お疲れさまでした。それにしても木原さんはタフだな。 


12.17 
 連載・長篇B・Cを進める。唐突ですが、久々の秘書猫です。
 みなさん、ごぶさたしてました。黒猫のぬいぐるみのミーコ姫です。ミーコもマックをつかえるようになりました。ときどき日記をかきます。ミーコはポスぺのミーナちゃん(ねこ、メス)とあそんでいます。おでかけすると帰ってこないのでおへやであそんでます。ミーナちゃんはモモぬいが好きで、手をたたいてよろこびます。とってもかわいいです。クラニーせんせいはお湯をかけると色がかわるモモぬいをもっていて、いつもおふろであそんでるそうです。ではでは、また。
 

12.18
 また紀伊国屋Webから資料がいろいろ届く。清川理一郎「古代インドと日本 海のシルクロードを探る」(新泉社)、伊藤清司「死者の棲む楽園 古代中国の死生観」(角川選書)、マルセル・グリオール「水の神 ドゴン族の神話的世界」(せりか書房)、滝音能之・三舟隆之「丹後半島歴史紀行 浦島太郎伝説探訪」(河出書房新社)、石村多門「<無限>の快楽 アインシュタインの光はゼノンの亀を追い越せるか」(窓社)、飛鳥昭雄・三神たける「古代インド核戦争の謎と大魔神シヴァ」(学研ムーブックス)など。私はいったい何を書こうとしているのだろう?
「新刊ニュース」1月号が届きました。アンケート「2001年印象に残った本」に答えています。新刊に限らず今年読んだ本ということなので、心おきなく浮き世離れしたベスト3にしてみました。ちなみに、1.大森荘蔵「哲学の饗宴」、2.永井均「<私>の存在の比類なさ」、3.井筒俊彦「意識の形而上学」です。


12.19
 脳のメモリが足りなくなってきたので仕事はお休み、書類の整理と住所録の改訂をしたあと懸案の物を買いに行く。まず御徒町の多慶屋でカラーボックス三つとメタルチェストを発注。寝室の片側の壁だけには本棚を置くまいと思っていたのだが・・。むかし会社の帰りにたまに寄った満留賀でむじなそばを食べたあと(懐かしい味でした)、秋葉原まで歩いてMac館でプリンターを購入。安くて頑丈そうなヒューレット・パッカード製。帰宅後はさっそくセッティング、張り合いがないほど簡単に終了し、この日記のプリントアウトに成功。ただ、うるさいから夜中には使えないな。意外にすんなりと事が運んだので、夜はiTunesの設定。これも滞りなく終了。初めてパソコンで再生したのは山崎ハコでした。あらかじめ登録されているイージーリスニングのたぐいはうっとうしいから全部消去。入っているのはいまのところ「飛びます」だけ、偏ったライブラリになりそうだ。すべてミュージックテープで持っている森田童子のCDを買わねば。
 さて、恒例のミステリー・ベストテンを含む「週刊文春」12/27号が発売になりました。2行だけですが「ミステリ・オペラ」のところにコメントが載っています。個人別の掲載はないのでここに書きます。
1.山田正紀「ミステリ・オペラ」
2.小川勝己「眩暈を愛して夢を見よ」
3.松浦寿輝「巴」
4.津原泰水「ペニス」
5.殊能将之「黒い仏」
本格アンケートとの差別化を図るべく、1位と2位のあいだに「眩暈を愛して夢を見よ」「巴」「ペニス」を挿入しました。と書くとなんだかなあ。「巴」は各種アンケートでは影も形もないんですけど、幻想的掲示板界隈でベスト選びをしたら1位になってしまうかも。疑う向きは「ダ・ヴィンチ」1月号のP44-45をごらんください。


[読書メモ]
(小説)田中啓文「ベルゼブブ」(徳間ノベルズ)、中原文夫「霊厳村」(ハルキホラー文庫)、バーナード・ケイプス「床に舞う渦」(鳥影社)。
 ホラーの消化にかかっていますが、あまり進まず。「ベルゼブブ」はこれだけの厚さでまともな人間が一人も出てこない(虫はうじゃうじゃ出てくる)。園児をガンガン殺しまくるシーンはあと50ページくらい読みたかったかも。
(小説以外)喜国雅彦「本棚探偵の冒険」(双葉社)、チャールズ・ジェニングス/ローリー・フィーナ「あなたの情報はこうして盗まれている」(翔泳社)、MacFan書籍編集部編「iBookFan[iBook入門・活用ガイド]」(毎日コミュニケーションズ)、「シルヴィア・プラス詩集」(思潮社)。
 本に関しては意外に実用主義者の部分もあって(ダブリは原則として買わない)、古本モードには間歇的にしかならないのですが、「本棚探偵の冒険」を一気読みして血が騒ぎ(私の本にはスリップまで入ってました)、しばらく中断していた洋書の古本買いを再開しました。それにしても「赤い靴」は凄いな。1800万冊というデータもさることながら、初版のみならずサイン本まで検索できる。試みにアンナ・カヴァンでやってみたら一冊だけヒット。ただし860ドル。実に目の毒である。おかげでほかの初版の短篇集が安く感じられ、つい発注してしまったのだが、二冊で2万円だもんなあ。酔っぱらって検索したらとんでもないものを買ってしまいそうだから注意しよう。ちなみに、ラヴクラフトの最高額はサイン入り「インスマウスの影」(生涯に一冊しか出せなかった例の本ですね)、お値段は7870ドルでした。どひゃー。


12.20
 早起きして仮眠を挟みつつ連載・短篇・長篇A・B・連作短篇B・中篇を進める。脳の容量が戻ったので現在同時進行中の小説のフルコース。夜のMacはAI将棋2のインストール、さっそくレベル5で対戦してみる。銀が上がったり下がったりしただけでたやすく発狂した学生時代の将棋ゲームとは雲泥の差で、終盤の詰み筋に入ると間違えてくれない。相穴熊戦で作戦勝ちだと思ったのだが、熱戦の末112手で一手負け。強いレベル5に勝つと6と7があるらしいから、いずれリベンジするぞ。
 

12.21
 間髪を入れずAI将棋2にリベンジを試みるも136手で投了。優勢になるのに勝てないなあ。それにしても、昨日は17枚も書けたのに一日しか続かない。夕方からは秘書猫をつれて新宿、まずマイシティのいづ味で割り子の四段を食す。出雲蕎麦と十割蕎麦が出て良心的な価格設定。蕎麦関係の本とCDを買ったあと、十時頃ロフトプラスワンヘ。菊地秀行プレゼンツ「ザ忘年怪3」に顔を出す。百人を超す大盛況。福引で外谷さんに首を絞められている飯野さんのサイン入り写真が当たりました。大切に保管しておきます(笑)。コスプレ・コンテスト、映像クイズ、質疑応答などを経て四時に終了。控室では田中啓文さんの「ベルゼブブ」秘話など。上高地で飯野さんの芸(としか表現できない)を見てから六時に解散。お疲れさまでした。
 

12.22
 一時過ぎに起床後、昨日届いたカラーボックスを三つ組み立て、寝室に設置する。これでうちのカラーボックスの数は42になりました。それからパズルのようなメタルチェストを試行錯誤しながら組み立て、パソコン関係の書籍や備品を収納する。寝室のカラーボックスにはホラービデオと哲学関係の本(どういう取り合わせやねん)を入れ、上にフリル地のテーブルクロスを敷いて小さいぬいぐるみたちを移動する。なかなかいい感じですが、次の本置き場のターゲットは靴箱かも。越した当初は夢のように広かったんだけどなあ。
 

12.23
 連載・長篇B・Cを進める。長篇Cは100枚をクリア。短篇の予定がひと月延びたから、連載さえ目鼻がつけば正月が来るぞ(まだ年賀状を書いてないけど)。AI将棋2には依然として勝てず。今日は246手(!)で投了。
 

12.24
 連載・長篇B・C・連作短篇Bを進め、夜は長篇Bの前半を読み返す。世間はクリスマスイヴですかそうですか。AI将棋2に初めて勝つ。よしよし。四間飛車で早めに仕掛けて95手で勝利。すると、表彰状とともにレベル6と7が現れる。さっそく最強のレベル7と戦う。急に考慮時間が長くなるところがおかしい。同じ戦法で惜敗したけど、勝てない相手ではないな。
 

12.25
 連載だけ進めたあと、年賀状の宛名書きに着手。すぐ手が痛くなるので、専用機からのデータの落とし方やプリンターの使い方などMacのおさらいを挟みながら(もう少し早く導入すれば年賀状も作れたのだが)たらたら続け、夕方にようやく完了して投函。夜はまたMac、今日はお絵かきの練習。酔っぱらったキリコみたいな絵を描いて遊んでました。これは結構楽しいかも。AI将棋やコンポジション制作(笑)のときは時間がもったいないから曲をiTunesのライブラリに読みこむことにする。今日は中島みゆき「毒をんな」など。
 

12.26
 連載・長篇B・Cを進める。Macは初のドローイング作品をプリントアウトしてみる。夢の「装丁・著者」への第一歩かも。続いて「赤い三角形のある風景」「毛むくじゃらなものたちが」「制作された過去のための哀歌」などともっともらしいタイトルをつけて制作中。
 

[読書メモ」
(小説)青沼静也「チェーンレター」(角川書店)、乙一「死にぞこないの青」(幻冬舎文庫)、西澤保彦「両性具有迷宮」(双葉社)。
 Macと遊んでいる時間が長く、読書はさっぱり進まず。「両性具有迷宮」ではクラニー&ミーコが随所で活躍しています。実物はこんなにハイテンションじゃないんですけど(笑)。
(小説以外)そばの道研究会編「そば通隠れ名店」(河出書房新社)、藤村和夫「蕎麦屋のしきたり」(NHK出版生活人新書)、毎日ムック・アミューズ編「なごみのそば凛としたそば」(毎日新聞社)。
 来年から秘密の蕎麦日記をつける予定です。目標は年間三百食。蕎麦の話題が出たところで今年は終わりです。みなさん、よいお年を。


12.27
 連載・長篇B・C・を進める。
 さて、「小説推理」2月号が届きました。「The End」連載第四回が掲載されています(福澤徹三、秋里光彦両氏の短篇も掲載)。それから、「探偵小説美味礼讃」で鷹城宏さんがどういうマクラを振ってるかなと開いてみたら(毎回楽しみにしていたりする)、いきなりこの日記が引用されていたのでのけぞりました(今回のテーマは「神のふたつの貌」)。迂闊なことは書けんな。
 

12.28
 夕方から新宿伊勢丹の古本市に出かける。ゆっくり本を見たいので毎年三日目くらいに行っています。会場で本多正一さんにバッタリ会い、先頃ガンで亡くなった写真評論家兼編集者の西井一夫さんの追悼記事のコピーをいただく。毎日新聞社で「20世紀年表」の校閲をやっていた関係で面識があったのですが、55才は若いよなあ。殺しても死にそうにない人だったのに。そのうちカゴが重くて持てなくなってきたのでレジへ。購入したのは、山名正太郎「日本自殺情死紀」(大同館書店、昭3)、有馬純清「心霊現象研究」(警醒社書店、大13)、「地球ロマン」創刊号、「オカルト時代」創刊号、スタニスワフ・レム「枯草熱」、チャールス・L・ハーネス「ウルフヘッド」(以上、サンリオSF文庫)、David Pirie「A Heritage of Horror/The English Gothic Cinema」、John McCarty「Video Screams」、ギョーム・アポリネール「壱萬壱千鞭譚」(学芸書林)、大場正史「西洋拷問刑罰史」(雄山閣)、友成純一「内臓幻想」(ペヨトル工房)、松岡正剛「花鳥風月の科学」(淡交社)、落合清彦「百鬼夜行の楽園 鶴屋南北の世界」(芸術生活社)、日本民話の会・外国民話研究会編訳「世界の魔女と幽霊」(三弥井書店)。たまに全部書くと疲れるな。2万8千円の散財なり。アポリネールは読んでるんですけど、装丁がいいからつい買ってしまった。赤い函入りの「西洋拷問刑罰史」もいい感じ。ド古本では「現代猟奇尖端図鑑」に食指が動いたのだが、さすがに2万円だと手が出ないな。終了後はむちゃくちゃ重いバッグをかついで新宿蕎麦ツアー。御苑前のくろ田で重ねせいろを食し、タイムズスクエアに向かうも蕎麦屋は満席、並ぶ気はしないからガイド本でチェックした西口の店へ。ただ場所がわからず、見つかったところでこの人出では入れそうにない。このまま帰るのはいかにも業腹だから、小田急のレストラン街で一軒開拓してから十時ごろ帰宅。
 井上雅彦監修・異形コレクション「マスカレード」(光文社文庫・838円)が届きました。「裏面」という短篇を寄稿しています。哲学スプラッターです(笑)。「実験的な作品を」という要請だったので書いてみたのですが、浅暮さんがまた派手なことをやってるからかすんでしまったかも。
 

12.29
 連載・長篇B・C・中篇を進める。夜は連敗続きだったAI将棋2のレベル6に初勝利。いろんな戦法を試してみようと、指したことのない中座流8五飛を我流でやってみたら勝ってしまった。残るは最強のレベル7のみ(今日は148手で惜敗)。もうひとつ試しているのは伊藤果七段の風車戦法なのですが(我ながら渋いな)、こちらはなかなか実を結ばず。
 

12.30
 連載・長篇B・Cを進め、夜はレシートの整理に手だけつける。AI将棋2はついに最強のレベル7に勝利! 相穴熊戦から大駒を全部叩き切ってと金攻め、これは会心の勝利でした。思わず棋譜を印刷してしまった。印刷と言えば、ドローイングの微妙な赤の違いがうまく出ない。もっと高いプリンターにすればよかった。
 

12.31
 連載だけ進めて仕事納め。もう大晦日ですけど。最後にAI将棋レベル7に後手番で初勝利! 168手の消耗戦なり。この半月でずいぶん力がついたような気がする。やはり三間飛車穴熊だな。秘書猫をつれて十時半ごろ伊賀上野に帰省、日暮里のマンションを出たのは四時なのに名古屋から先がむやみに長い。関西本線は年々不便になっていて、桑名・四日市・亀山で三回も乗り換え、新幹線がとうに広島に着いているころにやっと盆地の寂れた田舎町にたどり着く。どうして六時間半もかかりますか(空港のある稚内のほうが近いぞ)。おかげで紅白は最後のほうしか見られませんでしたが、五木ひろしが岡晴夫の「逢いたかったぜ」のカバーをしていたのでびっくり。iTunesで「岡晴夫傑作集」も作ることにしよう。今月の執筆枚数は201枚、稼働日数25日、一日平均は8.0枚でした。