3.1
 連載・長編A・短篇Bを進める。うちにはBS内蔵テレビがないからA級順位戦の中継を観られない。これが平日なら、一人で鴬谷のラブホテルに泊まって将棋中継を観るという奇手を指したくなるところなのだが。では、今週の秘書猫です。
 黒猫のぬいぐるみのミーコ姫です、こんばんは。こんしゅうは、おうちでおるすばんしてました。クラニーせんせいは「おともだちがいたよ」とほうこくしてくれます。近所のおふろやさんには大きなまねき猫さんがいるそうです。まねき猫さんはずっと同じポーズだからたいへんだにゃとおもいます。おわり。
 

[読書メモ]
(小説)藤沢周「雨月」(光文社)、岩井志麻子「楽園」(角川ホラー文庫)、佐藤ラギ「人形[ギニョル]」(新潮社)、大石圭「呪怨」(角川ホラー文庫)、竹本健治「クレシェンド」(角川書店)。
 今週は国内ホラーを消化。感想は書きだすと長くなりそうなので割愛ということで。ちなみに、雨月→楽園→人形→呪怨と二文字のタイトルが序破急急的にクレシェンドしていくという見立てなのですが、なんでこんなとこで凝らなあかんねん。
(小説以外)鈴木章生「江戸の職人 その『技』と『粋』な暮らし」(青春出版社プレイブックス)、モーリス・ブランショ「問われる知識人」(月曜社)、「自選自解 阿波野青畝句集」(白鳳社)、団鬼六「米長邦雄の運と謎」(幻冬舎アウトロー文庫)。
 訃報に接した月にブランショを続けて読んだのはタイムリーでしたが(声の大きいほうのブランショはわりとどうでもいいんだけど)、ふと気づくと小説は一つも読んでいないのだった。いま古書値が高いんだよな。


3.2
 面妖な蝶に腕を刺される悪夢を見て、悲鳴を上げて飛び起きる。ふと見ると、枕と秘書猫を間違えていた。あの針のようなものはミーコのヒゲだったのかもしれない。ごめんね。
 囲碁将棋番組のピックアップはNHK囲碁トーナメントの小松英樹-結城聡両九段戦。まあ面白かったけど、結城九段もあんな碁を打っていたらメジャータイトルはどうでしょう。解説は横田茂昭九段、今期は横田九段が解説者としてデビューするやたちまち常連にのし上がった年として記憶されるかも。深夜の将棋は初めて激指2の三段モードに連勝するチャンスだったのだが、相懸かりから必勝態勢になった二局目は酔いが回ってきて197手で頓死負け。悔しいから途中図より継続対局したら218手で勝ったけど、何という渋太さであろうか。
 

3.3
 連載・短篇B・長編Aを進め、夜は長編Bの再読にかかる。
 行きつけのクリーニング屋が昨年休業したため店を変えたのだが、私の発音が悪かったらしく「コラサカ」と認識されてしまった。訂正するのも面倒なので、以来ずっと「コラサカです」と名乗って出している。いったいどういう字を書くのだろう。「小良坂」だろうか。わりといい苗字だからいずれ小説で使うことにしよう。
 

3.4
 連載の追いこみ。今月は17枚しか書けなかった。残るは終章のみなのだが・・・。気を取り直して短篇Bと長編Aを進め、長編Bの再読を完了。夜は碁と将棋の勉強。ほぼ毎晩碁石と駒に触って何か並べてるからこれで弱くなるはずはないんだけど、最終目標の合わせて九段(現在は六段)への道は果てしなく遠い。
 

3.5
 棋王戦のネット中継をチェックしながら仕事。角換わりはいま勉強中なのでタイムリーでした。夕方は「将棋世界」と「圍碁」の最新号を買いにいく。それにしても最近ボードゲームの話題ばかりですが、世の中では何が起きているのだろう。まあどうでもいいんだけど。
 

3.6
 連載をメールし、短篇Bと長編Aを進める。長編Aは第九章まで終了、450枚をクリア。暴走と言うも愚かな展開になってきたような気が・・・。
 

3.7
 秘書猫をつれて六時より東京會館、徳間三賞のパーティに出席する。二次会はSF組で帝国ホテルのレインボーラウンジ。ここまでをざっと振り返ってみたのだが、碁と将棋の話ばかりしていたような気がするな。初対面は速瀬れいさん、平山夢明さんなど。三次会は我孫子さんの先導で御茶ノ水パセラ、今年はバタバタしていて三月にして初カラオケである。初めて歌ったのは中島みゆきのマイナーな名曲「毒をんな」。田中啓文さんにだけウケてましたね。人数が増えてから広めの和室に移動、「コレクター」「浪曲子守歌」などの飛び道具を続けて披露する。結局、朝の六時までガンガン歌って解散。お疲れさまでした。
 と、このレポートではあんまりなので、顔を見るたびになごむ牧野修さんのSF大賞「受賞の言葉」より思わずうなずいてしまった箇所を引用します。
「世界がぐらぐら揺れたりぐるりとひっくり返ったりする感覚は誰もが好きだ。わたしは昔そう思っていたのだけれど、実はそうでなく、ぐらぐらしない世界で語られる『あるある』という共感を愉しむ人の数はとても多いのだ。そういう人たちは何を好きこのんでぐらぐらしたがるのかわからない。(中略)
 不快は不快でしょ、信じられないよなあ、と反目眩派が言うと、それがいいんだよなあ、と目眩派が答えるのである。論争にもならない」
 そうだよねえ。


3.8
 というわけで、よれよれ状態。関西棋院のネットライブ中継(これは秀逸。所属棋士の勝率が異様に低いけど)をチェックしながら短篇Bと長篇Aを少しだけ進める。では、今週の秘書猫です。
 黒猫のぬいぐるみのミーコ姫です、こんにちは。こんしゅうは、パーティにつれてってもらいました。オコジョさんたちといっしょにでました。ミーコは大にんきで、たくさんのおともだちにいっぱいあそんでもらいました。ぬいさんもいました。わーいわーい、うれしいにゃ。
 

[読書メモ]
(小説)西澤保彦「人形幻戯」、田中啓文「蓬莱洞の研究」、秋月涼介「迷宮学事件」、高田崇史「QED 竹取伝説」、黒田研二「闇匣」(以上、講談社ノベルス)。
 今週はずいぶん溜まっていた講談社ノベルスを少し消化。しばらく国内が続いたため、来週からは海外物に戻る予定です。
(小説以外)平本弥星「囲碁の知・入門編」(集英社新書)、藤村和夫「蕎麦なぜなぜ草紙」(ハート出版)、武宮正樹「システム布石 三連星」(誠文堂新光社)、宮崎国夫・団鬼六「真剣師小池重明 疾風三十一番勝負」(幻冬舎アウトロー文庫、たぶん再読)、羽生善治「羽生の頭脳7 角換わり最前線」(日本将棋連盟)、呉清源「中の精神」(東京新聞出版局)、林道義「囲碁心理の謎を解く」(文春新書)。
 小池重明の棋譜を十局ほど並べてみたのですが、勉強になったようなならないような・・・。


3.9
 短篇が気になって早めに起きたのだが、寝不足で効率悪し。
 囲碁将棋番組のハイライトはNHK将棋トーナメント。先崎学八段の奇策・初手3六歩をさっそく激指2に試してみたら、どうやら怒ったらしく角交換されてわけのわからない乱戦に。これはやめたほうが無難かもしれない。
 

3.10
 短篇Bをとりあえず最後まで書く。30枚強の短篇なのにむちゃくちゃ時間がかかってしまった。夜は週刊「碁」の棋譜を並べる。石の姿が厚くて美しい高尾紳路八段を応援しているのですが、十段戦の第一局は王立誠十段に老獪に打ち回されてしまった模様。
 

3.11
 短篇Bを画面上で推敲してプリントアウト、連載のゲラを戻す。これでやっと山を越えられそうだ。その後は長篇Aを進め、しばらく止まっていた長篇Bを再開。
 

3.12
 今日は不定期で催されている「蕎麦とゲームの会」、一時過ぎに竹本健治さんの仕事場にお邪魔する。まずは竹本六段に定先で囲碁を二局打っていただく。一局目は師のお株を奪う宇宙流でいい碁が打てたのだが惜敗。難しい局面の連続だったから棋譜をとってあとで並べて検討したかった。二局目は前からの悪い面が出て反省点多し。まあじわじわと腕が上がっている感触はあったのでよしとしましょう。四時過ぎから他のメンバー(浅暮三文、福井健太とその後輩三名)がしだいに合流、近所の蕎麦屋で夕食。戻ってからは将棋。早大将棋部のK君に二局教わる。午前中の練習将棋では風車で東大将棋のマスターを粉砕したから、同じ得意戦法で臨む。理想形に組めて途中まではいい感じだったんだけど、錯覚を起こして玉頭から攻めたのが大失敗で、逆襲されて最後は大差負け。二局目はレパートリーを変えて振り穴に。相穴熊のほぼ同形ながら、局後の検討では私の勝ち筋は何もなかったのだから恐ろしい。学生棋界で活躍しているバリバリの将棋部員ってやはり強いですね。東大将棋にめったに負けない人とたまにしか勝てない人との実力差を痛感しました。その後は例によってポーカー、十二時前に早めに失礼する。お疲れさまでした。
 

3.13
 短篇Aをメールし、長篇Bと長篇Aを進める。夜は昨日届いた「魑魅」(邑書林)の再校ゲラにかかる。次の本はどうやら第三句集になりそうです。深夜の激指2戦は初めて風車で勝てたと思って温泉気分だったんだけど、酔いが回ってきて飛車をタダで取られてしまい、思わず絶叫。近所の皆さん、何でもありませんから。
 さて、ダ・ヴィンチ編集部編「ミステリー迷宮道案内」(メディアファクトリー・1500円)が届きました。「ミステリー ダ・ヴィンチ」を完全収録したもので、「ブラッド」刊行時のインタビューなどが収録されています。
 

3.14
 長篇Bと長篇Aを進め、夕方は蕎麦屋をハシゴしながら「近代将棋」を読む。平穏な一日である。
 

3.15
 どうも根が続かないので高見盛みたいに気合を入れてからワープロに向かってみたのだが、相撲と小説は全然違うのであった。では、今週の秘書猫です。
 黒猫のぬいぐるみのミーコ姫です、こんばんは。こんしゅうは、休ようしてました。えっと、「ミステリー迷宮道案内」のP18とP93にミーコのお写真がのってるよ。かわいくうつってるからみてね。おしまい。
 

[読書メモ]
(小説)ロブ=グリエ「迷路のなかで」(講談社文芸文庫)、ル・クレジオ「ロンド その他の三面記事」(白水社)。
 たまにヌーヴォー・ロマンを読むと新鮮だったりしますね。続けて読むと飽きるけど。「迷路のなかで」の手法(執拗な幾何学的描写と音楽的な眩暈の構造)を用いたミステリーというアイデアが浮かんだのだが、私の中の誰かが「よせよせ」と囁くのだった。
(小説以外)今井金吾「図説東海道五十三次」(河出書房新社)、柴田正良「ロボットの心 7つの哲学物語」(講談社現代新書)、モーリス・ブランショ「明かしえぬ共同体」(ちくま学芸文庫)、谷川浩司監修「谷川が選んだ光速の手筋」(近代将棋4月号付録)。


3.16
 今日は半休。短篇Bを仕上げ、ネットで調べ物(男の和服とか自衛隊とか)をしながら句集の献本リストの作成にかかる。
 囲碁将棋番組のピックアップは早指し選手権。安食女流1級の「そうですかあ」といういかにも受け将棋らしいおっとりした聞き手ぶりは実になごみますね。
 

3.17
 短篇Bをメールし、「魑魅」の再校ゲラを返送。連載をとりあえず再開する。棋力アップにはこれだなと思い、「目標 詰め碁と詰め将棋を一日十題! クラニー」と書いた紙を寝室の壁に貼る。なんだか受験生の部屋みたいである。
 

3.18
 連載と長篇Aを進める。せんじつめれば私は〈私〉にしか帰属していないわけで(最近とみにジャンル的規範は鬱陶しく感じられたりする)、だからこそ保守系アナキスト兼特殊小説家なんだけど、その〈私〉がいっこうに統合されていないからなかなかに面倒なのである。去年あたりからアッパー系とダウナー系を分けるという方針で執筆しているのですが、どうも分けすぎているような気がしないでもない。連載と長篇Aはとても同じ人が書いているとは思えないのだが。
 

3.19
 今日は第三句集「魑魅」(邑書林)のカバー見本が届く。装画は私の本ではおなじみの久枝アリアさん(アリアドネさん)、装幀は版元の島田牙城さん、瀟洒な本に仕上げていただきました。発売は4月中旬の模様です。しばしお待ちください。
 というわけで、いまひとつですが今週の十句です。
 
春ゆふべむかしのわれとすれちがふ
画数の多い漢字や星朧
死んでゐる我が友の手にいぬふぐり
左手は右手を知らず揚雲雀
観潮の一人落ちたり夢木灘
赤潮の割れて砕けて触手かな
幻氷にあらず白い手の巨人
つちふるや終末の日は永遠に
廃屋の暗がりにあり桜餅
春塵や八年前のカレンダー
 

3.20
 長篇Aの第十一章まで終了、500枚をクリア。ひと区切りついたので半休にして浅草へ。ROXビルで本とCDとぬいぐるみを買ってから蕎麦ツアーという定番コース。帰宅後は久々にカラオケの練習。私が「もらい泣き」を歌うと「もらい叫び」みたいになってしまうから、これはやめたほうが無難かもしれない。
 棋王戦は丸山九段が大逆転の三連勝で羽生竜王からタイトル奪取。それにしてもタイトル戦は横歩取りがむやみに多くてつまらんな。誰か風車をやってくれないかしら。無理か。
 

3.21
 このところ囲碁と将棋の話題ばかりで恐縮なのですが、ある種の人々にとってのボードゲームは意外な効用がありまして、将棋はともかく碁は歳をとっても強くなると思えばつらい浮世で正気を保ちながらひとつ長らえてみようかという気分にもなったりするわけです。45才で死んだけど小栗虫太郎が一時期碁会所通いをしていたというエピソードが妙に頭の片隅に引っかかっているのですが、いったいどんな碁を打ったのだろう(意外に堅い、地を這うような棋風だったかもしれない)。棋譜は残ってないんだろうな。


3.22
 例によって泥縄なのだが、資料を調達に神保町へ。叢文閣とグランデの二階を続けて回ると頭がクラクラしますね。その後は個人的な愉しみの本をバッグ一杯分買う。グランデの囲碁将棋コーナーが地下へ移動されていてちょっと不便なのですが、写真集を贖う若者の列に並んで渋い本を買うのもまた乙かもしれない。では、今週の秘書猫です。
 みなさん、こんにちは。黒猫のぬいぐるみのミーコ姫です。こんしゅうは、クラニーせんせいがぬいさんを二ひきかってくれました。ちいさいリスさんで、コリスちゃんとトリスちゃんです。オコジョさんたちのおともだちになりました。おわり。
 

[読書メモ]
(小説)モーリス・ルヴェル「夜鳥」(創元推理文庫)。
 期待値が高すぎたせいか、ルヴェルはやや隔靴掻痒の感あり。もはや抗体ができていて多少の毒では反応せず、猛毒じゃないと気持ち良くならない体質になってしまっているのはちょっとだけ哀しかったりする。
(小説以外)武宮正樹「定石後の打ち方」(土屋書店)、別冊宝島編集部「今こそ知りたい自衛隊の実力」(宝島社文庫)、パトリス・ボロン「異端者シオラン」(法政大学出版局)、勝浦修「終盤力養成講座2 詰将棋」(創元社)、山前譲編「本格一筋六十年想い出の鮎川哲也」(東京創元社)、心霊リサーチ研究所編「こわいこわい話」(竹書房文庫)、加藤隆「一神教の誕生」(講談社現代新書)、「次の一手 自信をつけるための23題」(「碁ワールド」4月号付録)。
「異端者シオラン」は非常に興味深く読んだのですが、何人いるか知らないシオラン愛読者以外にこんな馬鹿高い本を薦めても仕方がないのだった。とりあえず最も印象に残ったくだりを引用します。
「諧調を夢み、あるいは夢みているようなふりをしながら、彼の思想は決して諧調となって閉じられることはない。それは永久に開かれたままであり、確固たる結論もなく、いわば宙吊りの状態で、思考の原因となった曖昧さに穿たれたままである。事実、二つの項、二つの極の和解は不可能であり、思想は両者のあいだを永遠に揺れ動く。またこの思想には、〈超越〉も、あるいは上位のジンテーゼもないし、たとえばニーチェの場合のように、あらゆる価値の〈転倒〉ないし〈価値転換〉という目的(スローガンといったほうがもっといいだろう)もない」


3.23
 テレビ棋戦がいっせいに決勝戦、おまけに相撲は千秋楽、おかげで仕事はまったく手につかず。NHK囲碁トーナメントは気が狂いそうな熱戦の末、三村智保九段が王立誠十段を下して初優勝。決勝戦の三劫無勝負ってぜひ見たかったけど。早指し将棋選手権はスポンサー難のため残念ながら今回で終了(朝の5時台の将棋オタしか見てない番組だからなあ)。意味なく扇子を持って出てくる島田アナウンサーもこれで見納めでしょうか。
 続いて大相撲春場所回顧。現役力士の色気と渋さなら速風海と浜ノ嶋が双璧だと思うのですが、幕内で優勝争いをしていた面々にはそういった要素が致命的に欠けてますね。かつて久島海戦で生まれて初めて立ち合いの変化を見せた浜ノ嶋が、幕下に落ちて注文相撲で星を拾っている光景にはやや寂しいものがありました。今場所のこの一番は相撲ファンが待ち望んでいた闘牙vs隆の鶴戦。赤の他人なのに背中の毛の生え方まで似ますか。
 

3.24
 二つの暴力というものを考えてみる。一つはあからさまでわかりやすい身勝手な暴力である。いま一つは柔らかくわかりにくい暴力、これは往々にして(当人は暴力であることなどつゆ知らず)誰も抗弁できそうにない正論のかたちをとる。この二つの暴力はおおむね鋭く敵対する(ように見える)のだが、マジョリティの側に立ちたがる心性ということにかけては実は同根ではないかと思う(その根には恐らく一神教が絡みついている)。まあいずれにせよ、世は声の大きい人たちの天下、ここでは世間的にはあってもなくてもいい将棋の話でもしましょう。
 というわけで、夜は激指2の三段モードに風車で初めて勝つ。さらに、深夜は後手番の阪田流向かい飛車から風車という迂遠な戦法で東大将棋のマスターに快勝。かなりこの特殊戦法のコツがわかってきたかも。とにかく短気を起こさず忍耐あるのみ(二局の合計は320手なり)。
 

3.25
 連載・長篇B・長篇Aを進める。長篇Aは第十二章まで終了。残るは一章のみ。
 さて、「SFマガジン」5月号が届きました。「ことのはの海、カタシロノ庭 piece17 世の終わりのための音楽」を寄稿しています。藤原ヨウコウさんに美しいイラストで飾っていただきました。ありがとうございます。同誌の小説は初登場につき、正攻法で直球を投げてみました。まあ私の直球ですけど。
 

3.26
 仕事は昨日とほぼ同じ。急に暖かくなったので順応できず、調子はいまひとつ。
 今日は「小説推理」5月号が届きました。連載「The End」第19回が掲載されています。ほんとに残るは終章だけなのだが・・・。
 

3.27
 べつに毎日書くこともないのだが、ネタがないため一部で流行っている色占いをやってみる。結果は黄色。そうか、ひもに向いてるのか。今後の人生設計に役立てることにしよう。しかし、協調性と現実逃避性のパーセンテージはどう考えても逆だと思うが。
 

3.28
 連載が進まないので長篇Aに専念。いよいよ終幕間近である。夜はもっぱら将棋の勉強。やはり得意戦法に特化したほうがいいと判断し、今週は風車に専念。今日は四間飛車の藤井システムと見せかけて風車に組み、東大将棋に圧勝。右四間の出だしで風車というパターンもマスターしたし、クラニー流陽動風車を得意技にしよう。あとは対振り飛車の風車なのだが、これはまだ苦戦中。
 

3.29
 秘書猫用のアドレスを取得してメールボックスを追加したら、どこでどうなったのか私のメールまで使えなくなってしまう。設定のコピーに切り替えたら復旧したのでひと安心。余計なことはやめておこう。では、その秘書猫です。
 みなさん、こんにちは。黒猫のぬいぐるみのミーコ姫です。ミーコも色うらないをやってみました。けっかは、白(きせきの天使)でした。黒猫なのにどうして白なのかにゃ?
 

[読書メモ]
(小説)ダフネ・デュ・モーリア「鳥 -デュ・モーリア傑作集」(創元推理文庫)。
 「鳥」のベストは「モンテ・ヴェリタ」、ヒュー・ウォルポールにアーサー・マッケンが憑依したような話がデュ・モーリアらしく終わる。中篇の分量だが間然とするところのない傑作。「鳥」も映画よりはるかに救いがなくて良かった。
(小説以外)小寺小次郎「言霊研究入門」(八幡書店)、諏訪春雄「安倍晴明伝説」(ちくま新書)、コーエイ出版部編「安倍晴明&陰陽師大全」(コーエイ)、荒俣宏「陰陽師」(集英社新書)、黒瀬珂瀾歌集「黒耀宮」(ながらみ書房)、大宮司朗・平上信行「対談古神道と古流武術」(八幡書店)、筑紫磐井「飯田龍太の彼方へ」(深夜叢書社)、桐山清澄「駒落ちテクニック」(創元社)、森内俊之監修「森内が選んだ格言の手筋」(「近代将棋」5月号付録)、呉清源「二十一世紀の布石2 目外し・高目・三々篇」(河出書房新社)、有栖川有栖エッセイ集「赤い鳥は館に帰る」(講談社)、谷川渥編「廃墟大全」(中公文庫)。
 相変わらず取りとめがない。「飯田龍太の彼方へ」は切れ味鋭い俳論。「赤い鳥は館に帰る」には「田舎の事件」の推薦文が収録されています。でも、「頭のなかの鐘」がミステリ史に残りそうな気配はまるでないなあ・・・。


3.30
 どうも言葉が死んでいるので執筆はお休み。今年の下半期から始動する予定の作品のプロット作りを少しずつ進める。夜はドローイングを再開。描く気になったらいくらでもAppleWorksで描けるんだけど。
 囲碁の新鋭トーナメントは高尾紳路八段が金秀俊七段を下して優勝。前半戦を見るかぎり圧勝かと思っていたのですが意外な接戦に。やはり厚く打つとヨリツキ具合が違いますね。最終回の早指し選手権の総集編は、最後に島田アナウンサーが主役になるという演出がよかった。
 

3.31
 連載の追いこみモードに入っているのだが、40kmを過ぎて脚が上がらなくなってしまったマラソンランナーの趣。あとはプロット作り。今月の執筆枚数は170枚(A標準)でした。来月はぐっと落ちるかも。